最新記事

日本社会

物価高で節約生活のなか、嗜好品に「妥協しないプチ贅沢」の選択肢も

2023年2月20日(月)11時00分
高野智宏
スーパーマーケットで頭を抱える女性

あらゆる物が値上がりし、日本中で悲鳴が聞こえるが…… Hakase_ / iStockphoto

<人びとはホッとひと息をつける「贅沢」を求めている>

値上がりが止まらない。新型コロナウイルスによる経済の停滞はサプライチェーンに混乱とひっぱくをもたらし、世界規模のインフレを引き起こした。そこへ、昨年2月ロシアによるウクライナ侵攻が勃発。石油やLNG(液化天然ガス)をはじめ、両国が共に主要生産国である小麦など農作物にいたるまで、あらゆるものの物価を上昇し世界経済を混乱させている。

日本経済も渦中にあることを多くの方が強く実感していることだろう。アメリカの記録的なインフレを要因とする金利差は、円安を急速に加速させ輸入品は軒並み高騰。昨年12月の消費者物価指数は4.0%上昇と、第2次オイルショックで疲弊していた1981年以来となる、41年ぶりの高水準となった。

小麦粉を使用するパンやパスタなどを筆頭に食用油や卵など、あらゆる食材及び生活用品の値上げが続く"値上げラッシュ"状態の現在、我々の頭をもっとも悩ませているのが光熱費の値上げだ。

一番の負担は「光熱費」、1カ月10万円超えも

昨年10月に行われた世論調査によれば、値上げラッシュによる家計への影響を「負担に感じる」との回答が50%、「とても負担に感じる」は42%と、計96%が負担に感じているという結果に。また、「値上げして困っているもの」の第1位に水道光熱費が挙がり、半数以上がそう回答する結果となった。

また、あるニュースではオール家電仕様の一戸建て住宅に、夫婦と子供の3人で暮らす家族に12月分の電気代を取材。40代の母親から返ってきたのは「10万1822円です。衝撃的な金額で、嘘じゃないか、ドッキリじゃないかと思ってしまった」という回答だった。ちょうど1年前の請求額が5万749円であり、1年で倍近くに値上がりしたことを考えれば、その反応にも納得せざるを得ない。

先のアンケートで「値上げラッシュの影響で節約を意識するようになったか」という問いに対しては、82%が「意識するようになった」と回答。大半が消費に対してシビアな反応を示していたが、別のアンケートでは、節約は意識しつつも贅沢や美味しさを求めたい消費者意識が見て取れた。

その世論調査では「食費への意識に近いもの」を回答項目から選ばせる設問で、「節約しつつ、ちょっとした贅沢を盛り込む」に64.3%が回答し1位に。また、多少高くても買う理由としては、1位「おいしい」(71.7%)、2位「国産品」(61.5%)と、通常の生活では節約を意識しつつ、美味しく品質の良いものに対しては、多少高くても購入し消費するちょっとした贅沢で満足感を得たいというのが、消費者の傾向にあるようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イランとパキスタン、国連安保理にイスラエルに対する

ワールド

ロシア、国防次官を収賄容疑で拘束 ショイグ国防相の

ワールド

インドネシア中銀、予想外の利上げ 通貨支援へ「先を

ビジネス

超長期中心に日本国債積み増し、利回り1.9%台の3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中