最新記事

教育

iPhoneが高すぎて買えない日本、30年でなぜこれほど貧しくなったのか?

2022年12月10日(土)09時01分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
iPhone

grinvalds-iStock.

<「iPhoneが高い」「失われた30年」「日本の終身雇用」。この3つの共通点とは? 自分の目でニュースを見る力を養うためには、どのように「考える力」を身に着ければいいのか>

もし子どもたちに、「なぜ勉強しなくてはならないの?」と聞かれたら、どう答えるだろうか? 学んだ知識の集積が日常生活に直結する実感を持ちづらい子供に、勉強する目的を説明し、自発的に勉強させることは難しい。

くらしから世界がわかる 13歳からのニューズウィーク』(CCCメディアハウス)は、ニューズウィーク日本版による、ニュース解説書。時事ニュースを単なる〈ファクトの羅列〉ではなく、子供にとっても身近な日常の疑問に結びつけ、〈ストーリーで考える〉ことを導く。

基礎教養としてニュースを理解したい大人にとっても最適な本書より抜粋する。

◇ ◇ ◇


真面目に働いても給料が上がらない。そんなぼやきを聞いたことがある人もいるでしょう。日本人の給料はこの20年、ほぼ変わっていません。他の国では増えているのに。では、なぜ日本人の給料は増えなくなってしまったのでしょうか。

登場人物は、商店街の八百屋を切り盛りする25歳の彦、彦の親友で国語が苦手なYouTuberのタナカ、彦の祖母で教養豊かな常識人のうめ。

日本の若者にとってiPhoneが高すぎる

タナカ 絶対、Android[※1]にしとけって。iPhoneは高すぎるよ。

タナカ弟 いや、iPhoneが欲しい。

タナカ なにいってんだよ! いまのiPhoneは高いんだぞ!

 おっ、どうしたの、タナカ兄弟?

タナカ 弟がしっかりしないんだよ......。

 YouTuberのタナカが「しっかりしろ」といっても説得力ないな。それよりも、店先でケンカしないでよ。

タナカ いや、給料安いくせして、iPhoneが欲しいなんていうからさ。弟が自分で働いたお金だから、どう使おうが勝手だけどさ。手取り18万円だからね......。iPhoneは、決して安いスマートフォンではないし。料金を分けて払う「分割払い」でも毎月の負担は重いよね[※2]。

タナカ弟 スマホくらい好きなの買わせてよ。兄ちゃんが心配してくれるのもわかるけどさ......。それにしても、スマホの値段はどんどん上がるのに、おれの給料は全然上がらないよ。マジ、むかつくよね。

 それはぼくも同じだよ。一昨年は『パプリカ』って歌が流行したからパプリカを売りまくったのに、昨年も給料はまったく上がらなかったからね。ばあちゃんはなにを考えているんだか。

うめ こら、むだ話しているんじゃないよ! 「なにを考えているんだか」はこっちのセリフよ。たまに働いたからって、なにいってるの!




 『くらしから世界がわかる 13歳からのニューズウィーク
 栗下直也 (著)/ニューズウィーク日本版編集部 (編集)


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動

ビジネス

必要なら利上げも、インフレは今年改善なく=ボウマン

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中