記事を3本書くだけで年俸は50万ドル...元「花形編集長」の過去語りが「ウザすぎる」
The Stars They Were
現在、フリーランスのライターの報酬は、英単語1語当たり50セントでも「そんなに悪くない」と言われる。
ところが、92年にカーターがバニティ・フェアで採用したビジネス記者ブライアン・バローの年俸は、ピーク時で49万8141ドルだったという。条件は1万語の記事を年に3本書くこと。つまり1語当たり16ドル60セント以上もらっていた計算になる。
報酬や特典だけではない。当時は、ニュースにする価値があるとトップが判断したネタなら、取材し、記事を書き、ファクトチェックをすることに、ほとんど無制限のお金をかけることができた。
現在は、よほど余裕のある出版社でない限り、ファクトチェックはごく最低限で済まされているが、当時は「フルタイムのファクトチェック担当者が約20人いた」と、カーターは書いている。「重要な特集には、もっとファクトチェック担当を雇えた。けっこうな出費だったけどね」
ライターにとっては夢のような環境だ。
ところがそこにインターネット、さらにはソーシャルメディア、アプリ、そしてスマートフォンが登場して、活字メディアの広告収入は右肩下がりの運命をたどり始める。
雑誌の廃刊が相次ぎ、クリック数を稼ぐための記事が増えて、ジャーナリズムの質は低下した。メディアに対する信頼は傷つき、読者のメディアリテラシーも低下した。