最新記事
映画

中国警察からの一本の電話が......特殊詐欺に1億5000万円をだまし取られた初老男性の驚愕の実話

2025年3月21日(金)20時15分
大橋 希(本誌記者)

newsweekjp20250321104954-c24fefd92bf3ff2fe132f64a16a3eb3c0b9d60a5.jpg

ジェリーは「諜報活動」の一環で銀行から送金したり、行員を監視したりした © 2023 Forces Unseen, LLC.

―― 詐欺は本当に身近な問題だと思う。ジェリーさんなら、どんなアドバイスをする?

とにかく詐欺師のやり方をいろいろと知っておくことが重要だ。アメリカでは詐欺の手口があまり話題にされないので、実際に被害に遭ったときにまったく気付かなかった。

こんな風に近づいてくるという体験談を聞いたり、自身の体験談があればどんどん周囲と情報共有してほしい。

注意深くなること、警戒心を持つこと。経験談を広く言い伝えることだと思う。彼らは相当な訓練を重ねていて、マインドコントロールすることにもたけている。だから常に周囲の人とコミュニケーションを取ることも大事。「誰にも言うな」と言われたら、それは要注意だと覚えておくことだ。

ロー監督:「すぐにこれをしてほしい」など、緊急事態を装われたら、それは詐欺だと思ったほうがいい。本当に緊急なことなんて、そうそうないのだから。

――この映画が完成したときにまず感じたことは?

映画そのものより、この経験を通して家族の大切さを再認識できた。大変な事態だったのにみんなが助けてくれて、この悲劇を乗り越えることができた。お金は全て失ったが、家族こそが大事だと改めて認識できた。

息子のジョン:お金は失ったけれど、このストーリーが私の映画製作者としてのキャリアの助けになったなら「父親としての務めを果たしたことになる」と父から言われた。そんな父を尊敬しているし、愛している。どんな父親も子供の幸せを願うものだろうが、自分がやりたいことを見つけ、キャリアを選択する機会を与えてもらった僕らは幸せだと思う。

――映画出演は初めてだったが、撮影で印象深いことは?

たまに「声が低いからもう一回」「英語の発音がいまいちだからもう一回」と言われることもあったが、全体としては順調に楽しく撮影できた。演技に関しては、自分の身に起きたことを再現するだけなので難しくなかった。

特に好きだったのはレストランのシーン。食べることが大好きで、「今日はレストランの場面の撮影です」と言われると「おお、食べられる!」と嬉しくなった。

――被写体としてのジェリーはどうだったか。

ロー監督:非常に自然に演じてくれたし、アジア系移民の父親像をニュアンスたっぷりに表現してくれたと思う。「どこまでが演技で、どこまでがリアルなのか?」と時々困惑するくらいリアルに再現してくれたので、こちらもドキュメンタリーを撮っているのか、フィクションを撮っているのか、その線引きが曖昧になることがあった。

結果的に、映画の中で「真実とは何か?リアルとは何か」というより大きな問いを立てることになった。観客も僕らと同じようにこの映画を体験するのではないか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ペルシャ湾岸3カ国、SWF通じた投資見直し イラン

ワールド

北朝鮮の金総書記、娘と弾薬工場視察し拳銃試射=KC

ビジネス

任天堂、「ぽこ あ ポケモン」の世界販売本数が発売

ビジネス

日産がウーバーと自動運転で協業、年後半に東京でロボ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中