「50-50」を達成しても挑戦を続ける大谷翔平、今季見せた2つの新たな側面とは

SIMPLY THE BEST

2024年10月4日(金)17時28分
スコット・ミラー(MLB専門スポーツジャーナリスト)

newsweekjp20241003042741-868bfdd90559dae4e4239aa7f6592ca4b8489b20.jpg

オールスター戦前のレッドカーペットに真美子夫人と登場(7月16日) UPI/AFLO

大谷には常に大きな期待が集まっていたが、昨年12月にドジャースと10年総額7億ドルの契約を結んだときに最高潮に達した。いま彼はその期待を上回り、新しいチームをさらなる高みへ連れて行こうとしている。

「彼は本気だ」と、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は言う。「全ての野球選手の頂点を極めようとしている。それには誰もやっていないことを成し遂げなければならない」


これが大谷と契約するようドジャースを後押しした要因でもある。大谷がいれば、チームはどこへでも行ける──そう思えるのだ。

大谷をドジャースに導いたのも、一番になりたいという彼の熱意だった。古巣のエンゼルスから、豊富な資金と勝利の歴史を持つ「隣町」のドジャースへの移籍は、大谷が初めてポストシーズンの優勝争いに加わるという保証に近かった。

「自分への期待にうまく対処するには、特別な人間、特別な頭脳でないといけない」と、ロバーツは言う。「彼がプレーするときは、チームの勝利に貢献することに集中する。そしてスタジアムのファンの50〜75%が、自分のプレーを見に来ていると知っている。これは大変なことだ」

今季見せた2つの新たな顔

newsweekjp20241003043059-c5f77aa704529be85e1402d0e4e46866f57ec869.jpg

メジャー7年目で初の地区優勝を果たした大谷(9月26日) BRIAN ROTHMULLERーICON SPORTSWIRE/GETTY IMAGES

今季の大谷は、新しいチームと同僚を知り、新しいクラブハウスのカルチャーに適応するというプレッシャーを背負っていた。おまけに3月に韓国・ソウルで行われた開幕シリーズのさなかに、長年の通訳で友人でもあった水原一平を違法賭博事件で突然失った。水原は6月に銀行詐欺罪などで有罪を認めており、10月25日に量刑言い渡しが行われることになっていた。

だが水原側は12月20日に延期するよう申し立て、裁判所がこれを認めた。10月25日はワールドシリーズ第1戦の日。偉大な選手から金を盗んだ罪で量刑を言い渡されるのに適切な日ではないと考えたのだろうか。

水原が野球賭博の借金を支払うために大谷の銀行口座から約1700万ドルを横領したことが明らかになった後も、彼のプレーに全く支障がなかったという事実は注目すべきだ。

水原がドジャースを解雇され、代わってウィル・アイアトンが新しい通訳となって以降、大谷がロバーツやチームメイトに対してそれまでにも増して胸の内をさらけ出すようになったのは、誰にとっても思いがけない展開だった。


 ❝SHOHEI QUOTE_02❞
メンタルがプレーに影響するとは思っていない。しっかりとした技術さえあれば、どんなメンタルでも打てると思っている
(5月27日、水原元通訳の賭博問題のプレーへの影響について語って)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米FTCがグーグルとアマゾン調査、検索広告慣行巡り

ビジネス

中国新築住宅価格、8月も下落続く 追加政策支援に期

ワールド

北朝鮮、核兵器と通常兵力を同時に推進 金総書記が党

ビジネス

中国8月指標、鉱工業生産・小売売上高が減速 予想も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 3
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 4
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NAS…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中