日本人も日本人に殺された...映画『福田村事件』が描く「普通の村人」による虐殺【森達也監督に聞く】

When People Are Running Out of Control

2023年8月31日(木)16時20分
大橋希(本誌記者)

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©「福田村事件」プロジェクト2023

――物語の骨格として大切にしたのは?

加害者をしっかり描きたいっていうのがまずあった。普通の人がこんな残虐なことをしてしまうというのが大事な部分なので、普通の人であることは強調したい、村の生活や日常、喜怒哀楽をしっかり描きたいと思った。

――荒井晴彦、佐伯俊道、井上淳一の脚本家3人と意見がぶつかったことなどは?

いっぱいありますけど、例えばラストのカット。その前の場面で終わったほうが映画としてスタイリッシュだと言われたが、僕は「絶対にだめです」と。

強いて言えば、スタイリッシュに終わらせたくなかったし、映画は「欠落」が大事だと思っているから。せりふのないラストでみんないろんなこと考えてくれるんじゃないか、と。

――俳優は森さんが好きな人を集めたのか。

東出さんは僕が監督をやるって聞いた段階で、どんな役でもやりますと手をあげてくれたらしい。瑛太さんなどメインの役者はこちらからオファーした。

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