最新記事
映画

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』見どころ解説──ピーチ姫が頼れるリーダーに変身!マリオ・クッパとの関係の行方は?

Revising a Controversial Part of Nintendo History

2023年4月27日(木)14時00分
ナディラ・ゴフ
主人公マリオと弟ルイージ

主人公マリオ(左)と弟ルイージ ©2023 NINTENDO AND UNIVERSAL STUDIOS

<シリーズの歴史を詰め込んでおなじみのキャラたちが登場。悪役クッパとお姫様の時代遅れの関係の行方は?>

映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、言うまでもなく任天堂の大人気ゲームシリーズ『スーパーマリオブラザーズ』を下敷きにした作品だ。昔からのファンのために、過去のゲーム作品の要素がこれでもかとちりばめられている。

【動画】『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』最終トレーラー(字幕版)

マリオ(声の出演:クリス・プラット)が最初にゲームキャラクターとして登場した1981年の『ドンキーコング』では、「ジャンプマン」と呼ばれていたことへの言及もその一例だ。ディディーコングやディクシーコングもカメオ出演している。

マリオワールドにおける最大の悪役であるクッパ(同:ジャック・ブラック)と、キノコ王国の姫で、いつもマリオに救出されているピーチ姫(同:アニャ・テイラージョイ)との関係性も相変わらずだ。これまでの多くのゲーム作品同様、ピーチを誘拐して無理やり結婚したいというのが、クッパが悪行に走る主な動機になっている。

ピーチというキャラクターの扱いが性差別的だとの意見は以前から多いし、そう言われるのも無理はない。そもそも、「さらわれた女性を助ける」という設定は、「ドンキーコング」でゲームプレイを分かりやすくするために採用されたものだ。

その後、周囲の男性キャラの物語は進化してきたのに、さらわれたお姫様=ピーチはマリオに救出されるということ以外の役割をろくに与えられてこなかった。女性を誘拐して無理やり花嫁にしようとするクッパの考えに至っては、気持ち悪いの一言だ。

最初はなかった結婚願望

もっとも、「花嫁にするため」という設定は最初からあったわけではない。「ドンキーコング」でレディ(この作品ではまだピーチはいない)がさらわれる理由に恋愛要素は見当たらない。

クッパとピーチが初登場するのは85年の『スーパーマリオブラザーズ』。だが設定に書かれているのは、キノコ王国を魔法で攻め滅ぼしたクッパが、魔法を解いて国をよみがえらせる力を持つピーチを拉致したというだけだ。

それがいつしかピーチとの結婚願望になったらしい。2000年の『マリオストーリー』では、クッパの日記をこっそり開いたピーチが、自分を慕う気持ちが書かれた一節を目にする。

一方で任天堂も、ピーチの物語にフェミニズムの視点を多少なりとも持ち込もうとしてきた。05年の『スーパープリンセスピーチ』では、マリオや仲間たちをクッパから救い出す役割を担うのはピーチのほうだ。

17年の『スーパーマリオ オデッセイ』でピーチは、マリオとクッパのどちらを選ぶか迫られて、どちらも選ばないという決断を下す。これは時代に即した形でピーチの物語を描く試みだったが、批判的な反応も大きかった。

スーパーマリオ 3Dワールド + フューリーワールド -Switch
(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)
詳細を見る

食と健康
消費者も販売員も健康に...「安全で美味しい」冷凍食品を届け続けて半世紀、その歩みと「オンリーワンの強み」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾閣僚、「中国は武力行使を準備」 陥落すればアジ

ワールド

米控訴裁、中南米4カ国からの移民の保護取り消しを支

ワールド

アングル:米保守派カーク氏殺害の疑い ユタ州在住の

ワールド

米トランプ政権、子ども死亡25例を「新型コロナワク
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 8
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中