最新記事

英王室

私生活を守りたかったハリー&メーガン、「私生活を切り売り」した番組の過剰PR

2022年12月10日(土)18時45分
キャサリン・アルメシン

「もし本当に彼らが主張するようなひどい状態だったのであれば、ストック映像は必要ないはずだ」「彼らはロンドンで、あれほどのパパラッチに追い回されたことはなかったのだろう」「彼らはパパラッチのストーカー行為について文句を言っているが、カメラマンに追い回されている写真が見つからず、ストック画像を使う必要があったようだ」といった声があがった。

さらには、「自分の人生をテーマにしたリアリティーシリーズで、なぜ他人の体験を使用するのだろう?? なぜなら、自分たちが言いふらしているような体験を、実際にはしていないからだ。2人とも嘘つきで、詐欺師で、ペテン師だ」と断言する過激なツイートもあった。

私生活を守るための王室離脱では?

そもそも、この予告編でもプライベートを追い回されることへの強い不快感を示している2人が、いたるところにカメラを入れて私生活をさらけ出すような番組を作ったことを皮肉だとする指摘もある。雑誌編集者トム・スレーターはテレビ番組で「これはプライバシーの探求から始まったという事実を忘れてはならない」と語った。

「彼らは自らのプライバシーを侵されたくないからといって王室を離脱した。だがその後、インタビューを100回受け、ポッドキャストの番組を開始し、今度はネットフリックスのドキュメンタリーだ。彼らのプライバシーの探求は、ずいぶん奇妙なものになっている」

一方、ドキュメンタリーやニュースでは、文脈や背景を示すため、ストック写真やストック映像を使用することは珍しくないという指摘もある。あるツイッターユーザーは、「何に驚いているのだろう? ドキュメンタリー作家がいつもしていることだ! 論点は変わっていない。パパラッチやメディアはプライベートに立ち入ってくるということだ」としている。

別のユーザーは「ちょっと大げさな反応だ。全国放送のドキュメンタリー番組などを編集する立場からすれば、Bロール(サブ映像)は、こういう雰囲気だったということを伝えるため、『似た感じの』テーマの映像で構成されることはしばしばある。『こういうことが起きた』と断言するものではないのだ。よくおこなわれることだ」と説明した。

さらに別のユーザーは、こう指摘している。「彼らは、ヘンリー王子とメーガン妃が語る実際のインタビューを恐れているんだ。人々は、自分の世界観に反するものに対して、むしろ目と耳をふさいでしまう。監督がメッセージを伝えるために、ストック写真やストック映像を使ったっていいじゃないか。ヘンリー夫妻の言葉は彼らのものであり、それが批判者たちを怖がらせているのだ」

最新の予告編では、ヘンリー王子が、英国王室に嫁いだ女性たちが冷遇されてきた歴史に言及している。ヘンリー王子の亡き母であるダイアナ妃の映像やタブロイド紙の見出しが映し出されるなか、「王室に嫁いできた女性たちの痛みと苦しみ、こうしたメディアの過熱」とヘンリー王子が語る。「私は怖かった。歴史を繰り返したくなかった」

そしてメーガン妃が、「彼らは決して守ってくれないと気付いた」と続ける。

ドキュメンタリー「ハリー&メーガン」の後半3エピソードは、15日に公開される予定だ。
(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ基調指標、10月の刈り込み平均値は前年比2

ワールド

米民主党上院議員、核実験を再開しないようトランプ氏

ビジネス

ノボノルディスクの次世代肥満症薬、中間試験で良好な

ワールド

トランプ氏、オバマケア補助金延長に反対も「何らかの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 8
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中