最新記事

BOOKS

社名変更でスベったフォルクスワーゲンに読ませたいジョーク本

2021年4月6日(火)20時20分
森田優介(本誌記者)
フォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンの「エイプリルフール」ネタ Twitter

<フォルクスワーゲンが「エイプリルフール」ネタで炎上した。コロナ禍の今こそ「笑い」が大切だと思うが、あれはちょっと......>

先週、ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンが発表した。電気自動車(EV)シフトを進めるため、電圧の単位「ボルト」を取り入れ、アメリカ法人の社名を「ボルツワーゲン」に変更する――。

投資家は社名変更を歓迎し、株価は約5%上昇した。

しかし、社名変更は嘘。フォルクスワーゲンが仕掛けたエイプリルフールのネタだったのだ。

混乱を引き起こし、怒る記者も出てきたりして、結局、フォルクスワーゲンは謝罪する羽目になった......。

笑いのない世界はつまらない。「ボルツワーゲン」ネタが面白かったかどうかはさておき(実際、スベった理由は面白さと別にあるのだが、それは後述する)、コロナ禍で殺伐とした雰囲気の今こそ、ジョークやユーモアが必要ではないか。

日本随一のジョーク収集家でノンフィクション作家、ニューズウィーク日本版で「たかがジョーク されどジョーク」の連載も持つ早坂隆氏は、3月に上梓した新刊『世界の日本人ジョーク集 令和編』(中公新書ラクレ)の「はじめに」にこう書く。


「ちょっとしたユーモアが、人間関係や日々の生活に潤いや活力を与えてくれます......困難な時代こそ、『笑い』を大切にすべきです」

「日本人ジョーク」の新作が続々と誕生

企業のエイプリルフール・ネタやお笑い芸人も悪くないが、世相を反映したジョークも面白い。ここで、『世界の日本人ジョーク集 令和編』から1つ引用しよう。


 日本でとあるアンケートが行われた。設問は「日本人は物事の白黒をはっきりさせることが得意だと思いますか?」というものだった。結果は以下の通りであった。
 思う...5パーセント
 思わない...8パーセント
 どちらとも言えない...87パーセント

早坂氏の『世界の日本人ジョーク集』の第1作が刊行されたのは2006年。同作を含む「世界のジョーク集」シリーズは累計100万部以上出ているという。くすりと笑いながら、日本や世界について学べる同シリーズは、読者から長く愛されてきた。

上のジョークは、日本人の国民性をもじったいわば「定番」ネタと言えるが、本書にはコロナ禍ならではのジョークも多数収録されている。ジョークは時代の鏡、「日本人ジョーク」は日本人観の反映である。

早坂氏によれば、ネット社会が進歩し、多くの人が気軽に情報発信できるようになったことで、「日本人ジョーク」も新作が続々と誕生している。

おまけに、新型コロナの感染拡大により、「日本人独特の行動様式が、国際社会を大いに不思議がらせる事例が相次いでいます。日本人は『奇人』『変人』『不思議な人々』と見られることが増えているのです」(「はじめに」より)。

「え、日本人が変人扱い?」と思う人がいるかもしれないが、これは事実。早坂氏のジョーク連載の読者なら、そんな世相を反映したジョークが記憶に残っているだろう(例えば、こんなジョーク)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ

ワールド

米・ウクライナ鉱物協定「完全な経済協力」、対ロ交渉

ビジネス

トムソン・ロイター、25年ガイダンスを再確認 第1

ワールド

3日に予定の米イラン第4回核協議、来週まで延期の公
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中