最新記事
教育

子供が「挑戦しない」「すぐ諦める」問題...世界のエリート校が注目する「子供のレジリエンス」の育て方

2023年8月8日(火)10時52分
足立啓美(一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事)
小学生

Iryna Inshyna-shutterstock

<英語力やITスキルなどの「認知スキル」と異なり、「レジリエンス」はAIに代替されない。子供はどのように身に着けることができるのか?>

あなたの子供は「すぐ怒る」「挑戦しない」「すぐあきらめる」...?

逆境や困難に直面しても、つらさに耐える力や自分で回復する「レジリエンス」は、大人だけのものではない。

きみのこころをつよくする えほん』(主婦の友社)の著者で日本のレジリエンス教育の第一人者である足立啓美が説く、子ども自身が自分のネガティブな感情を認め、自分で心を鎮めるレジリエンスの育て方について。

◇ ◇ ◇

 
 
 
 

私たちは、経済や社会が不安定で変化の激しいVUCAと言われる時代を生きています。今後10〜20年程度で約47%の仕事が自動化される可能性が高いと言われ、今の子ども達の60%は現在には存在していない職業につくと言われています。

このように、より早いスピードで多くのことが変化していく時代を生き抜くために、子ども達にはどのような教育が必要なのでしょうか。

ITスキル、英語力など、目に見える力(認知スキル)は大事ではありますが、時代とともにAIに置き換わっていく可能性もあります。

一方で、非認知スキルと呼ばれる目には見えない心の力は、誰にも奪われることのない、その子自身の力となり、生涯にわたり良い影響をもたらしてくれます。

経済学者であるヘックマン教授の研究によると、幼児期に非認知スキルを育てることは、経済学的に見ても、投資効果が高いと言われています。

それは、幼児期に非認知スキルを育てておくと、成人した際により社会に貢献できる人材になれるということでもあります。

また、非認知スキル(心の力)を育てることは、認知スキル(アカデミックな力)への良い影響が見られることもわかっています。

非認知スキルと一言で言っても、さまざまな力があります。特に、予測が難しく、不確実性が高い時代において、逆境や困難に負けない力である「レジリエンス」が注目されています。

私たち人間にとって変化というのは心地の良い体験ばかりではありません。時に、緊張やストレスに耐え、課題に取り組み続け、変化の中に好機を見つけ出し、成長していくということが必要です。

これらの変化を乗り越えるためには「レジリエンス」が鍵となるため、この力を育む教育が世界中で行われているのです。先進国の私立エリート校から、後進国の貧困層の女子教育に至るまで、多くの研究者の注目の対象になっています。

先端医療
手軽な早期発見を「常識」に──バイオベンチャーが10年越しで挑み続ける、がん検査革命とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中