最新記事

キャリア

いま、凡人でも起業して成功できる──その理由

2019年5月10日(金)17時20分
小原聖誉

飲食店ではなく、ITビジネスで起業すべき

そんな経済力が低下している日本で、個々のビジネスパーソンはどうすればいいのだろう。

多くの日本企業で、かつて一般的だった「定年まで同じ会社で働く」という就労システムもすでに崩壊しつつある。副業を認める企業も出てきた。つまり、自分で食べていく方法を身に着けたほうが生き残りやすいということだ。

起業してビジネスがつくれるようになれば、高価値な人材となる。大企業もそのような人材や組織を必要としており、それらの高価値な人材や組織が増えれば、日本の生産性も上がっていくだろう。人口が減少しつつあっても、1人あたりの生産性が上がれば国力は維持できる。

特にIT関係の起業は、資金も少なくて済む。スマホなどのインフラによって、多くのユーザーに流通コストなしでサービスを提供することができるからで、起業家にとっては勝負がしやすい。しかも今は、新規事業に投資したい企業やベンチャーキャピタル、エンジェル投資家が増加しており(下図参照)、実は起業したい人には追い風が吹いているのだ。

bonjinbook190510-chart3.png

小原聖誉・著『凡人起業』(CCCメディアハウス)57ページより

安く生産でき、流通コストがなく、資金も利用できるため、「起業」という選択肢が現実的に取りやすくなった。起業か大企業への就職かを損益分岐で考えた場合、起業したほうがアドバンテージが出るかもしれないという、端境期が今だといえる。

例えば飲食店であれば、勝負どころは毎日だろうし、頑張ったとしてもリターンはあまり変わらない。もし急激な成長を求めようとしたら、フランチャイズを一気に増やすくらいしか方法はないだろう。

一方、ITビジネスは、大きく投下すれば大きく伸びるという特徴がある。例えば、メルカリやグノシーは、スマホが伸びているときにスマホ向けのサービスを企画開発し、タイミングよくテレビCMに予算を投下し、ユーザーを短期間で一気に100万人、200万人と獲得していった。

急激に伸びていくと、社員数が少なくても売上基盤を大きくできる。そこがITビジネスの利点だ。

自分の経験を生かし、コツコツやるのが「凡人起業」

そうはいっても、起業なんて誰にでもできることではない。「起業家」と聞けば、東大や早大、あるいはハーバード・ビジネススクールでMBAを取得したような、やり手や天才をイメージしてしまう――そんな人は少なくないだろう。

でも心配することはない。「日東駒専」と称される、ごく平均的な大学を卒業した(しかも、経済学部という平凡な学部を、ファストフード店でのアルバイトに打ち込み過ぎて留年した)凡人である筆者が起業できたのだから間違いない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中