「AIで十分」事務職が減少...日本企業に人材採用抑制の波
リクルートホールディングスもAI活用によって生産性向上が見込まれるとして、7月に社員約1300人を削減すると公表した。
資本家に有利、格差拡大の恐れ
米国では一足早く人員整理が加速している。マイクロソフトは7月、世界の全従業員の4%に相当する約9000人をレイオフ(一時解雇)すると発表した。同社は業績堅調だが、5月にも約6000人の削減を決めたばかりだ。テクノロジー業界では、AIの開発に巨額の投資が求められることからも、人件費を圧縮する必要性が高まっている。
今年に入り、メタも数千人規模の削減計画を明らかにしたほか、アマゾン・ドット・コムのアンディ・ジャシーCEOは6月に社内文書で「生成AIの導入拡大に伴い、一部の仕事はより少ない人数で済むことになる」と述べ、従業員総数が今後減少するとの見通しを示した。
同様の動きはIT企業だけではなく幅広い業界に広がりつつあり、フォード・モーターのジム・ファーリーCEOは「AIは米国のホワイトカラー労働者の半分を置き換えることになる」と予測。国連貿易開発会議(UNCTAD)は「AI主導の自動化の恩恵は多くの場合、労働者よりも資本家に有利に働くため、社会格差が拡大する恐れがある」と警鐘を鳴らす。
大和総研の新田尭之・主任研究員は日本の労働市場への影響を抑えるために、「シンガポール政府による職業訓練制度スキルズ・フューチャーを参考にしながら、社会人の学び直し(リスキリング)の仕組みを抜本的に強化する必要がある。失業手当の拡充などセーフティネットの拡大も検討すべきではないか」と話した。


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