最新記事

新興国

インドに投資するなら可能性は無名都市にあり

ビジネスチャンスは地方の新興経済圏で探せ

2014年12月9日(火)15時17分
アヌ・マドガブカル(米マッキンゼー・グローバル・インスティテュート上級研究員)、ラケシュ・モハン(IMF常任理事)

投資  25年まで年平均7〜8%の成長が続くとみられるインド(ムンバイの電子機器工場) Mansi Thapliyal-Reuters

 インド経済が回復する日は近いかもしれない。財政規律を正し、官僚組織に喝を食らわしているモディ政権に対する期待は高まる一方だ。企業の意欲が高まれば投資が、とりわけインフラ整備への投資が再び活気づく可能性は大いにある。

 ただし、インドで真に投資価値のある場所を探そうと思ったら、各地に点在する新たな経済圏に目を向けなければならない。もちろん、そういう場所は目を皿にしないと見つからない。

 データで見るとインド経済の前途は有望だ。GDPの年平均成長率は25年まで6.4〜7.7%で推移すると予想される。7.7%に近かった12年までの10年間に引けを取らない数字だ(昨年はわずか4.7%)。停滞期にある先進国には羨ましいほどの復活ぶりになるだろう。

 この勢いで、インドは世界で急速に経済成長を遂げている国の仲間入りを果たし、12年には2700万人だった中間所得層が25年には8900万人に増える見込みだ。

 しかし国全体が平均して豊かになるわけではない。最近の報告では、25年までの経済成長の半分以上を担うのはグジャラートやマハラシュトラなど総人口の31%が住む8州だ。これら8州と4大都市圏に中間所得層の57%、5000万人が集まる。

 そこでの1人当たりGDPは、全国平均の2倍になる可能性が高い。成長の原動力は急速な都市化、技能やインフラへの投資、農業から製造業やIT関連サービスへの転換などだ。

 このままいけば、これらの地域の経済水準は25年の時点で中所得国並みになる。1億2800万人の人口を擁するマハラシュトラ州の消費市場は現在のブラジルに匹敵し、ニューデリー首都圏2200万人の暮らしはロシアと肩を並べるはずだ。

 一方、ビハールやウッタルプラデシュなど、25年になっても1人当たりGDPが全国平均の70%に満たない州もある。

 しかし投資家は州単位の数字でなく、全国各地にある人口密集エリアに目を向けるべきだ。注目すべきは、183あるなかで成長を遂げている49のエリアだろう。

 これらのエリアは12年に全人口の半分、GDPの70%、消費者の71%を占めていた。また人口10万人超の450都市のうち250都市を含んでいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼総統、中国軍事演習終了後にあらためて相互理

ビジネス

ロシア事業手掛ける欧州の銀行は多くのリスクに直面=

ビジネス

ECB、利下げの必要性でコンセンサス高まる=伊中銀

ビジネス

G7、ロシア凍結資産活用は首脳会議で判断 中国の過
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    なぜ? 大胆なマタニティルックを次々披露するヘイリ…

  • 7

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 8

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 9

    これ以上の「動員」は無理か...プーチン大統領、「現…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中