最新記事

ネット

ツイッターはヘビーユーザーに課金せよ

広告で収益を上げるビジネスにシフトする気配だが、それよりもっといい方法がある

2012年7月26日(木)17時27分
マシュー・イグレシアス

早まるな ツイッターCEOのコストロは、当たり前の広告モデルに頼る必要なんかない Eric Gaillard-Reuters

 ツイッターはメディア企業かIT企業か――よく聞かれるが、この設問は誤っている。

 企業を区別するより良い基準は、その企業が顧客に製品を売る企業か、ユーザーを広告主に売る企業か、だろう。

 両方のビジネスを手掛けている場合もある。たとえばグーグルは、検索やGメール、マップ、ドックスなどのサービスで多くのユーザーを引きつけ、そのユーザー向けの広告を企業などに販売するのがメインのビジネスだ。だが同時に、広告抜きのオンラインサービスを有料で提供する企業顧客向けのビジネスもある。

 そしてツイッターは、明らかに広告主体のビジネスモデルにシフトしようとしている。私は、それよりもっといい方法があると思う。

 私のツイッターのタイムラインは今でも、実質的に広告としか言いようがないツイートで埋め尽くされている。その元凶は、私自身のような人間、つまり自分の最新記事のタイトルを告知しリンクを流すジャーナリストたちだ。他にもありとあらゆるメディア関係者、有名人、そして売り出し中の作家や評論家たち。自分の居場所を知らせる屋台や、スペシャルメニューや特典を宣伝するレストランもある。大企業でも今どきは、PRや市場調査のためにアカウントの1つや2つは持っている。

一般ユーザーには無料かつ広告なしで

 つまり、ツイッターの画面に大小の広告スペースを増やしてクライアントに売るまでもない。すでにツイッターを広告ツールとして活用している多くのユーザーや企業に、サービスの利用料を払ってもらうほうがよほど確実だろう。

 ツイッターの顧客構造は、従量別定額課金モデルにぴったりだ。

 ツイッター利用者の大半の人々はめったにつぶやくこともないし、フォロワーも少ない。それをことさら増やす気もない。

 対極には、少数派だが意図的にマスフォロワーを率いるヘビーユーザーがいる。そう、私のような人間だ。ツイッターは、我々に課金すればいい! 

 フォロワーが500人未満のユーザーは利用を無料にし、それからフォロワー数によって段階的に利用料を上げていく。お金を払うくらいならフォロワーは500人未満でいいというユーザーが大半だろうが、苦労して2万人ものフォロワーを開拓した人は大きな価値をツイッターから得ているに違いなく、きっとその代価も払うだろう。

 一般ユーザーにも大きなメリットがある。プロユーザーがお金を払ってまで活用する優れたサービスを、無料かつ広告抜きで使えるようになる。

(c)2012, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三井住友銀行、印イエス銀の株式取得へ協議=関係筋

ビジネス

米関税、インフレと景気減速招く=バーFRB理事

ワールド

焦点:印パ空中戦、西側製か中国製か 武器の性能差に

ワールド

金総書記、ロ大使館を異例の訪問 対ドイツ戦勝記念日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 8
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中