コラム

ハリス、副大統領から大統領候補へ...「マダム・プレジデント」の誕生なるか

2024年08月02日(金)10時50分

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ハリスの弱点を補う副大統領候補として名の挙がるアリゾナ州選出上院議員で元宇宙飛行士のマーク・ケリー KENT NISHIMURA/GETTY IMAGES

また、ハリスが民主党の新たな大統領候補に浮上したことで、6月末の討論会におけるバイデンの失態で稼いだトランプの点数は完全に帳消しになった。ある有力な世論調査では、ハリスが逆転してリードしているとの衝撃的な結果も出ている。

バイデン・ハリス選対の某幹部が書いたメモには、ハリス勝利の可能性が高まる根拠として、バイデンよりも「説得可能な有権者をさらに開拓できる」ことが挙げられている。態度未定の有権者は若者や中南米系、黒人に多い。トランプは今春の時点で、35歳未満の有権者の支持率でバイデンを7ポイントリードしていたが、ハリスは現時点で4ポイントリードしている。黒人の支持率も、ハリスはバイデンの時より8ポイントほど上がった。実に驚異的な改善であり、アリゾナやジョージア、ネバダ、ノースカロライナといった黒人の多い激戦州を制する上では願ってもない傾向だ。


他の候補を圧倒する勢い

支持率が上がっただけではない。選挙資金も驚異的なペースで集まっている。晴れて大統領候補に昇格したハリスが最初に開いた集会では、わずか24時間で猛烈な反響が起き、バイデンが過去4カ月に集めた以上の資金が集まった。

とにかく信じられないような金額だ。上限なしの大口献金だけで1億5000万ドル。さらに小口献金も88万人以上から総額8100万ドルが寄せられた。支持率と資金面の勝利だけではない。民主党は新たに約3万人のボランティアを集め、その多くを重要な激戦州に投入した。バイデンの時より100倍も強力な体制だ。

民主党はこのところの議会補選や州知事選で予想外の勝利を収めているが、その背景には女性候補の活躍と女性有権者の投票率向上がある。トランプが在任中に3人もの判事を送り込み、すっかり保守派で固めた連邦最高裁が女性の「中絶を選ぶ権利」を否定して以来、女性たちは本気で怒っている。大統領候補が女性なら、この問題にはもっと焦点が当たるはずだ。

一方で、トランプはパワフルな女性が大嫌いだ。世論調査で女性のハリスに負けそうになれば、トランプは反射的に下劣で差別的な言葉を吐き、せっかく自分になびいていた無党派層の反感を買う可能性が高い。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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