コラム

トランプがあっけなく「留学生たたき」を止めた理由

2020年07月21日(火)15時00分

東欧の同僚の1人がかつてこう言ったことがある。「サム、ポピュリストの大統領が愚か者で良かったな。彼はアメリカに危害を加えられるほど賢くない」

新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を記録している今、この無謀な計画が撤回に追い込まれたのは幸いだった。アメリカのイノベーションが世界を牽引していると、愛国主義者のわが同僚がこれからも自慢し続けたいのであれば、この国には留学生の才能と力が欠かせない。

アメリカの高等教育システムが持つソフトパワーを損なおうとするトランプの試みは失敗に終わった。だが、この国のリーダーがそれを試みたこと自体、アメリカの圧倒的優位の終わりの始まりを示唆していると言えなくもない。

私の子供は35年後、北京や東京で同じような研修に参加しているかもしれない。

<2020年7月28日号掲載>

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2020年7月28日号(7月21日発売)は「コロナで変わる日本的経営」特集。永遠のテーマ「生産性の低さ」の原因は何か? 危機下で露呈した日本企業の成長を妨げる7大問題とは? 克服すべき課題と、その先にある復活への道筋を探る。

プロフィール

サム・ポトリッキオ

Sam Potolicchio ジョージタウン大学教授(グローバル教育ディレクター)、ロシア国家経済・公共政策大統領アカデミー特別教授、プリンストン・レビュー誌が選ぶ「アメリカ最高の教授」の1人

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