コラム

共謀が罪なら、忖度も罪なのか?

2017年04月25日(火)15時20分

野党側は、共謀罪ができたら警察が為政者の意向を忖度して、反対派をどんどん逮捕するだろうなど主張をしていますが、この共謀罪では、忖度そのものも、あるいは忖度を誘発した権力者の側も計画だけで犯罪になる可能性があるわけで、与野党ともに、ここは冷静になって考えてみた方が良さそうです。

アメリカでは、確かにテロや麻薬取引などの重大犯罪に関して、共謀だけで重罰を加えるような法体系になっていますが、少なくとも「低コンテキスト社会」、つまり必要なことにはコミュニケーションの記録が残る程度が高い社会ですので、憲法に定められた基本的人権との齟齬が生じるケースは少ないです。

ですが、日本のような「あうんの呼吸」や「空気」でコミュニケーションが行われる社会では、共謀とは何かという問題が限りなく拡大解釈される危険性があり、法体系として安定したものにはならない懸念が強く残ります。

その他にも、謀議参加者と称するニセの密告で冤罪が作られる危険性、SNSやメールの一方的な勧誘などをスルーしたことで共謀への参加を「拒否しなかった」からと罪に問われる危険性など、「反論のしにくい高コンテキスト社会」では制度的に無理がある点も指摘されています。あらためて、慎重な議論が強く望まれます。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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