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愛国歴史教育に対する「米高校生の異議申し立て」が勝利した日
それだけではありません。全米の2つの歴史学会("The American Historical Association"と "The Organization of American Historians")が彼等の主張を支持、更にはAP試験を主宰しているカレッジボードも「ジェファーソン郡のカリキュラムは、このままではAPのカリキュラムとして認定できない」という決定を下しました。生徒たちの運動はここに「完全な勝利」を獲得するに至りました。
生徒たちのリーダー格であるマギー・ラムソーさんという高校四年生は、「不正な秩序に挑戦することが正しいと教えるのは、何も無政府主義を推奨することにはならないのです。そうではなくて、政府というものが人民に奉仕するものであり、そのためには修正すべきところは修正すべきだという当たり前のことは、この国の制度設計にビルトインされているのです」と述べていました。
実はアメリカの場合は、このラムソーさんのセリフこそが「正統」であり、例えばアイビー・リーグ加盟校などの名門大学は、このような運動でリーダーシップを発揮して結果を出した彼等の活動については、合否判定の中で「高評価」を与えるに相違ありません。
そしていわゆる保守の運動は、このような「リベラルな思想をもったエスタブリッシュメント」に対する反抗として発生したという側面があるのも事実です。ですが、ダメなもの、間違ったものはやはりダメであり、そのように果敢に行動した高校生たちの存在は、社会に活力を与えることは間違いないでしょう。香港の17歳たちだけでなく、アメリカの17歳も元気だということです。