コラム

今回の東京都知事選を「イロモノ」の祭典にしないために必要なこと

2024年06月18日(火)18時08分
東京都, 東京都知事選, 蓮舫, 石原慎太郎, 小池百合子, 橋下徹

今回のAIイラスト:魑魅魍魎の化かし合いよりも政策論争を… AI GENERATED ART BY NEWSWEEK JAPAN VIA STABLE DIFFUSION

<都知事たちの経歴や野心には共通点があると時事芸人・プチ鹿島は説く。だが不思議な因縁のある小池百合子都知事や蓮舫氏はじめ、今回の候補者たちがそのイメージをぬぐう方法が1つある>

東京都知事選が7月7日に投開票される。私は以前から「東京都知事=イロモノ説」を唱えている。イロモノが失礼なら異端の人と呼ぼうか。

ここ30年の都知事を思い出してほしい。青島幸男、石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一、小池百合子。共通点は圧倒的知名度だ。猪瀬氏を除いて前職は国会議員だったのも共通している。私はここにヒントを見る。議員として人気も知名度もあるが総理を狙えるほどではなかった人が多いのだ。本人も派閥でコツコツと支持を集め......というより派手な言動で国民の耳目を集めるのが得意と自負している感じ。

永田町ではイロモノ的存在でも、ある場所では一気に強大な権力に近づける。それが東京都知事なのである。都知事は永田町の「プロ」でなく一般の都民が選ぶ。となると、異端の人は強い。国政では永遠の関脇でも都政では横綱になれるかも。さらに都知事になると良いことがある。石原氏が示した、都知事で箔を付けた後は改めて国政へ、という道筋だ。

小池百合子は石原慎太郎の夢を見たか

石原氏は2011年に4選し、翌年に知事を辞し太陽の党を設立。橋下徹氏率いる日本維新の会と合流し、衆院選で国政に復帰。いよいよ国政でもトップへ、という道筋だった。

これを大いに参考にしたのが小池氏ではなかったか? 彼女は16年に都知事選に出馬。突如という感じだったが当時の小池氏は安倍首相に距離を置かれ党内で存在感が薄く、一発逆転を懸けたように見えた。自分の見せ方がうまい小池氏は都連を「ブラックボックス」と呼び、喝采を浴びた。自民党員なのに反自民を売りにして旋風を起こしたのだ。

なんだかよく分からないが自民党の都連とケンカしてつくった対立構図は巧みだった。そして小池氏は17年に希望の党騒動を起こす。自身の「排除」発言などで失速したが、党設立当初は政権交代も取り沙汰された。小池氏が国政でもトップに、と野心をハッキリと表した瞬間だった。

プロフィール

プチ鹿島

1970年、長野県生まれ。新聞15紙を読み比べ、スポーツ、文化、政治と幅広いジャンルからニュースを読み解く時事芸人。『ヤラセと情熱 水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』(双葉社)、『お笑い公文書2022 こんな日本に誰がした!』(文藝春秋)、『芸人式新聞の読み方」』(幻冬舎)等、著作多数。監督・主演映画に『劇場版センキョナンデス』等。 X(旧Twitter):@pkashima

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米運輸省、7日に4%の減便開始 航空管制官不足で=

ビジネス

テスラ、10月ドイツ販売台数は前年比53%減 9倍

ビジネス

AI競争、米国と中国の差「ナノ秒単位」とエヌビディ

ビジネス

英中銀副総裁、ステーブルコイン規制で米英の協力強化
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイロットが撮影した「幻想的な光景」がSNSで話題に
  • 4
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 5
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 6
    カナダ、インドからの留学申請74%を却下...大幅上昇…
  • 7
    もはや大卒に何の意味が? 借金して大学を出ても「商…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    約500年続く和菓子屋の虎屋がハーバード大でも注目..…
  • 10
    若いホホジロザメを捕食する「シャークハンター」シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story