コラム

「借金大国ニッポン」をかすませる国家破産のリスク──世界の公的債務1京円の衝撃

2023年09月14日(木)15時25分
ドル札と世界地図

(写真はイメージです) Pixel-Shot-Shutterstock

<デフォルトに陥りやすい国とは? またデフォルトに陥った国だけでなく、多くの途上国・新興国でこの十数年の間に海外への公的債務が増えたのには、大きく2つの原因がある>


・世界各国の抱える公的債務は92兆ドルを超え、コロナ禍やウクライナ戦争をきっかけに債務不履行(デフォルト)に陥る国も増えている。

・その多くは途上国・貧困国で、これらの抱える借金は金額では先進国に及ばないにもかかわらず、経済に占める負担は大きい。

・これらの国で返済困難なほど借金が膨れ上がった原因には、その計画性の乏しさだけでなく、過剰な資金が海外から流入したことがある。

コロナ禍やウクライナ戦争、急激なインフレや地球温暖化などを背景に世界各国の債務は急速に増え、1京円を超えたとみられる。国家破産のリスクが広がることは、地政学的にも大きなインパクトを秘めている。

世界のなかの日本の借金

日本の公的債務、いわゆる「国の借金」は昨年段階で11兆ドルを超えた。国連のデータによると、その規模はGDPの2倍以上、261%に当たり、これは世界一の水準だ。

この膨大な借金には、予算不足を赤字国債でまかなう数十年の習慣に加えて、少子高齢化や法人税徴収の減少といった構造的な要因がある。

ただし、日本の借金は大きな問題であるものの、世界全体からみると'借金大国ニッポン'は以前ほど目立たなくなっている。

国連によると世界各国の公的債務は2022年に合計92兆ドル、現在のレートにして1京円にのぼった(民間企業や家庭のものを含めると305兆ドルとも推計されるが、以下では公的債務に話を限定する)。

この20年間で世界のGDPは約3倍に増えたが、その間に各国の公的債務は5倍になった。

それにともない、世界全体の公的債務に占める日本の割合は2012年には23%だったが、10年後の2022年には12%程度にまで下がった。この間、日本の公的債務額はほぼ横ばいで大きく変化していない。

つまり、良くも悪くも借金体質にあまり変化がない日本と対照的に、急速に債務が膨らむケースが目立つのである。

債務額で日本の3倍のアメリカ

とりわけ先進国は、世界全体の公的債務の約7割を占める。そのなかでもアメリカでは急増していて、10年前には日本とあまり差がなかった公的債務額が、2022年には日本の3倍近い約31兆ドルに膨れ上がっている。

特にこの数年、コロナ禍以来の医療・衛生予算の拡大に加えて、温室効果ガス排出を実質ゼロにするための産業育成と公共事業(グリーン・ニューディール)、増加する自然災害への対策と被災地への支援、さらに合計750億ドル以上のウクライナ支援などが政府支出を増やしてきた。

その負担は今年6月、アメリカを債務不履行(デフォルト)の淵にまで追いやった。

各国の公的債務額(10億ドル)

急激に増える支出をまかなうため国債発行量が増えるにつれ、議会が定める債務上限(シーリング)に迫り、緊縮財政を求める共和党が多数派を占める議会下院とバイデン政権の対立が6月の危機を招いたのだ。

プロフィール

六辻彰二

筆者は、国際政治学者。博士(国際関係)。1972年大阪府出身。アフリカを中心にグローバルな政治現象を幅広く研究。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学、日本大学などで教鞭をとる。著書に『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『世界の独裁者 現代最凶の20人』(幻冬舎)、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、共著に『グローバリゼーションの危機管理論』(芦書房)、『地球型社会の危機』(芦書房)、『国家のゆくえ』(芦書房)など。新著『日本の「水」が危ない』も近日発売

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