コラム

石破首相退陣、次は誰か? 日本株のリターンが米国株を大きく上回る期待のシナリオ

2025年09月08日(月)18時41分

小泉首相の場合、高市首相の場合...

まず、小泉首相の場合、政策はどうなるか。昨年の総裁選挙の中で、同氏から金融財政政策について具体的な考えはほとんど示されなかった。同氏はマクロ安定化政策を重視しておらず、大規模な減税政策を受け入れる可能性は低い。

このため、日本維新の会との政策協議が優先され、予算策定が実現するだろう。マクロ安定化政策が軽視され、経済官僚に依存し続ける政策が続くという意味で、石破政権とほとんど変わらない経済状況が続くのではないか。この場合、日本株への期待は短期間で終わり、日本株のリターンは米国株に依存し続ける。

高市首相となればどうか。故安倍晋三元首相が同氏を事実上の後継者と目していたが、安倍首相を支えた経済ブレーンの影響を受けている高市氏が首相となれば、金融財政政策運営は大きく変わるだろう。

具体的には、大規模な減税政策を主張する国民民主党との連携を通じて、経済政策は大きく転換することになる。日銀の利上げ姿勢も和らぐことになり、日本経済は再浮上して、米国株を大きく上回る日本株リターンが期待できる。

小泉氏、高市氏のどちらが勝利するだろうか。筆者は5分5分だと考えている。

霞が関に近いオールドメディアは、小泉首相誕生を期待させるバイアスをかけて世論誘導を図る、と筆者は予想している。一方で、過去2回の選挙で自民党が失った有権者の票を少しでも回復させるためには、高市氏が最も望ましいと考える自民党関係者が多いのが実情だろう。

今後の日本経済の行方を大きく左右する今回の自民党総裁選挙となるが、期待を込めてウォッチしていきたい。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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