コラム

日本が危ない!? 福島原発の放射能フェイクニュースが拡散中

2017年02月20日(月)19時02分
日本が危ない!? 福島原発の放射能フェイクニュースが拡散中

1月30日に東京電力が公表した福島第2原発原子炉格納容器内の映像 TEPCO/Handout via REUTERS

<「日本に行くのは命を捨てるのも同然」「核燃料は流出していた! 即死レベルの放射線」などと、中国を中心に原子炉格納容器内の放射線量についての発表が誤って伝わっている。日本政府はなぜ対応を取らないのか>

こんにちは、新宿歌舞伎町の李小牧です。外国人による日本旅行が絶好調だが、いま大変な危機が迫っていることをご紹介したい。日本政府が速やかに対策を取らなければ日本経済にとって大きな打撃となりかねない。

日本政府観光局は2月15日、今年1月期の訪日外国人客数(推計値)を発表した。前年同月比24%増の229万5700人で、単月では過去2番目の高水準を記録した。原動力となったのが中国人観光客だ。今年は1月28日が旧正月。ちょっと早めに休みをとって日本を訪れた人も多かったのだろう。前年同月比32.7%増の63万600人が日本旅行を楽しんだ。

ここで話が終われば万々歳なのだが、いま大変な事態が起きている。私は中国ではちょっとした有名人で、街を歩けば声をかけられたり盗撮されることもしばしば。SNSでも毎日まったく知らない人から山のように連絡が入ってくる。「今晩、李さんのレストランに行くけどいますか?」という話から「こんな儲け話があるんですが、一緒にどうですか?」という怪しいものまでさまざまなのだが、最近こんなメッセージが増えている。

「日本は放射能汚染が深刻だと聞きます。日本旅行をキャンセルしたほうがいいでしょうか?」「日本旅行を考えていたんですが、放射能が怖いです」「李さん、ニュースを見ましたか。早く日本から脱出してください」

まるで東日本大震災の直後に戻ったかのようだ。いったい何が起きているのだろうか?

外交部までが騒ぎを拡散、英語圏からも問い合わせが

きっかけは2月2日の東京電力の発表だ。福島第一原発2号機の原子炉格納容器内の放射線量が推定で毎時530シーボルトというきわめて高い水準にあると発表した。新たな事故が起きたわけではなくたんなる現状報告だったはずだが、中国のウェブメディアは強烈な煽り記事、いや「フェイクニュース」を垂れ流している。

「緊急通達! CCTVも報道、日本に行くのは命を捨てるのも同然」
「秒速で死亡! 福島の放射能が突如大逆流」
「特大突発ニュース:核燃料は流出していた! 即死レベルの放射線」
「日本福島原発の放射線量が"爆表"! 数十秒浴びれば人間は死亡」

(*「爆表」は中国のネットスラング。アニメ『ドラゴンボール』に出てくる戦闘能力を計測する機械「スカウター」はあまりにも高い数値を検出した時に爆発してしまう。このことからPM2.5などの汚染物質が基準値をはるかに超えた数字を示した場合に「爆表」〔スカウター爆発〕との表現が使われるようになった)

プロフィール

李小牧(り・こまき)

新宿案内人
1960年、中国湖南省長沙市生まれ。バレエダンサー、文芸紙記者、貿易会社員などを経て、88年に私費留学生として来日。東京モード学園に通うかたわら新宿・歌舞伎町に魅せられ、「歌舞伎町案内人」として活動を始める。2002年、その体験をつづった『歌舞伎町案内人』(角川書店)がベストセラーとなり、以後、日中両国で著作活動を行う。2007年、故郷の味・湖南料理を提供するレストラン《湖南菜館》を歌舞伎町にオープン。2014年6月に日本への帰化を申請し、翌2015年2月、日本国籍を取得。同年4月の新宿区議会議員選挙に初出馬し、落選した。『歌舞伎町案内人365日』(朝日新聞出版)、『歌舞伎町案内人の恋』(河出書房新社)、『微博の衝撃』(共著、CCCメディアハウス)など著書多数。政界挑戦の経緯は、『元・中国人、日本で政治家をめざす』(CCCメディアハウス)にまとめた。

ニュース速報

ワールド

経済連携協定は成長エンジン、TPP11早期合意目指

ビジネス

タクシーはセダンからワゴンへ、トヨタが新型車発売 

ビジネス

焦点:日経平均が最長の15連騰、与党勝利の安心感 

ワールド

フィリピン、マラウィでの作戦終了宣言 IS系勢力を

MAGAZINE

特集:中国予測はなぜ間違うのか

2017-10・24号(10/17発売)

何度も崩壊を予想されながら、終わらない共産党支配──。中国の未来を正しく読み解くために知っておくべきこと

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    生理の血は青くない──業界のタブーを破った英CMの過激度

  • 2

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)

  • 3

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・後編)

  • 4

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料ま…

  • 5

    早わかり衆院選 主な争点別の各党の選挙公約

  • 6

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 7

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 8

    「ヒュッゲ」ブームの火付け役が日本人に伝えたい幸…

  • 9

    衆院選、自公が300議席超えか 希望は伸び悩み・立憲…

  • 10

    年内にも発売されるセックスロボット、英研究者が禁…

  • 1

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

  • 2

    国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)

  • 3

    生理の血は青くない──業界のタブーを破った英CMの過激度

  • 4

    ポルノ王がトランプの首に11億円の懸賞金!

  • 5

    トランプ、金正恩の斬首部隊を韓国へ 北朝鮮に加え…

  • 6

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 7

    iPhone8はなぜ売れないのか

  • 8

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 9

    NYの電車内で iPhoneの「AirDrop」を使った迷惑行為…

  • 10

    「お母さんがねたので死にます」と自殺した子の母と…

  • 1

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 2

    「北朝鮮はテロリストだ」 北で拘束された息子は異様な姿で帰国し死んだ

  • 3

    北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

  • 4

    「金正恩の戦略は失敗した」増大する北朝鮮国民の危…

  • 5

    トランプの挑発が、戦いたくない金正恩を先制攻撃に…

  • 6

    米軍は北朝鮮を攻撃できない

  • 7

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 8

    米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

  • 9

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 10

    iPhoneX(テン)購入を戸惑わせる4つの欠点

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!