コラム

中国の感染爆発、死者は「1日1万1000人」と英医師会誌 「4月末までに170万人が死亡」

2023年01月04日(水)12時03分
人通りが少ないマカオのカジノ街

人通りが少なくなったマカオのカジノ街(2022年12月29日) Tyrone Siu-Reuters

<ゼロコロナ政策撤廃後の中国ではさらなる感染爆発が予測されている。コロナ対策の失敗が習近平国家主席の致命傷になるのか?>

昨年12月、ゼロコロナ政策を撤廃した後の中国の感染爆発について、英国医師会雑誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)は3日、英医療系調査会社エアフィニティのモデリングに基づき、「コロナによる12月初めからの累積死者は11万人に達し、1日に1万1000人が死亡している」との推計を明らかにした。

エアフィニティのモデリングは、中国保健当局がまだ米欧諸国の基準と同じように、陽性反応から一定期間内の死亡や死因がコロナに起因していたケースをすべて計上していた当時の中国各省のデータと、厳格なコロナ対策で感染爆発を封じ込めていた香港や日本で規制が解除された後の感染者増加率に基づいている。

それによると、1月13日に北京や広東省を中心に最初のピークが訪れ、1日に370万人の新規感染者が発生。地方の農村部で感染爆発が起きる第2のピークは3月3日で、1日当たりの新規感染者数は420万人に達する。4月末までに中国全土で170万人が死亡するとみられるという。

230104kmr_czc01.jpg

中国におけるゼロコロナ政策転換後の感染者予測(エアフィニティの発表)

別の香港大学研究者グループの査読前論文によると、ゼロコロナ政策の撤廃により、1月末までに100万人当たり684人の死亡が予測されている。これは96万4000人の死者に相当する。

SNSに出回る動画では「病院の廊下は患者で超満員」

中国は集団検査を止め、無症状の感染者を報告しなくなった。コロナ死者も陽性反応後に呼吸不全または肺炎で死亡した場合にのみ記録する方式に変更し、事実上、患者数と死者数のカウントを停止した。

中国のソーシャルメディアに出回った国家衛生健康委員会の議事録によると、12月20日の新規感染者数は3700万人にのぼり、同月1~20日までの累積感染者数は2億4800万人に達したという。同月1~22日の累積感染者数は約28万4700人とする公式発表とは大きな食い違いがある。同委員会は12月24日以降、公式発表を取り止めている。

公式発表では12月7日にゼロコロナ政策が緩和されて以来、コロナ死者は6人しか増えていない。全期間を通しても死者は5241人にとどまる。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:戦闘で労働力不足悪化のロシア、インドに照

ワールド

アングル:フロリダよりパリのディズニーへ、カナダ人

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米CPI受け 円は週間で

ビジネス

米国株式市場=3指数が週間で下落、AI巡る懸念継続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    それで街を歩いて大丈夫? 米モデル、「目のやり場に…
  • 7
    【インタビュー】「4回転の神」イリヤ・マリニンが語…
  • 8
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 9
    機内の通路を這い回る男性客...閉ざされた空間での「…
  • 10
    中国の砂漠で発見された謎の物体、その正体は「ミサ…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 6
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベル…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story