コラム

ついに日本が物価指数でアメリカを逆転...本格化したインフレを、退治できない日本の危険な未来

2023年08月02日(水)19時09分

日銀の植田総裁も利上げに慎重な姿勢

新しく日銀総裁に就任した植田和男氏は、いわゆるアベノミクス人脈で総裁になった人物ではなく、政治的にはフリーな立場にある。その植田氏ですら、当分の間、政策を変更しないという方針を示していることの背景にはこうした切実な事情が存在する。

しかも植田氏は、政策変更の条件として「賃金上昇が必要」とも発言している。物価だけでなく賃金も政策変更の要件に加えた場合、当分の間、政策は変えられないことを意味する。

そうなるとアメリカが金利の引き下げに転じたとしても、それを上回る日本円の大量供給が続くため、大きな円高要因にはなりにくい。理論上はあり得ない展開だが、両国の物価上昇率が逆転した後も、日本では低金利が続き、円安が進みやすい状況が続くシナリオも十分に考えられる。

そうなると輸入物価の上昇は止まらず、国民生活は引き続き苦しいままかもしれない。

20240305issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年3月5日号(2月27日発売)は「世界が愛した小澤征爾」特集。[保存版]巨匠・小澤征爾、88年の軌跡。[独占インタビュー]佐渡 裕/イツァーク・パールマン

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

太平洋の警察活動に「中国の役割ない」、豪担当相が表

ワールド

政治資金パーティー、首相在任中は開催せず=岸田首相

ワールド

タイ製造業生産指数、1月は16カ月連続の低下 自動

ビジネス

日経平均は続落、米株安や日銀正常化を警戒 底堅さも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した小澤征爾
特集:世界が愛した小澤征爾
2024年3月 5日号(2/27発売)

圧倒的情熱でクラシック界に新風を吹き込んだ「世界のオザワ」がわれわれに遺したもの

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵と若者の衝突...帰還兵が路上で一方的に暴行される

  • 2

    中国株の暴落が止まらない 外国人投資家はほぼ撤退

  • 3

    もう取り返しがつかない?ロシアがウクライナ侵攻で犯した5つの失策

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    在日外国人と日本社会の共生努力を後退させる右派の…

  • 6

    ウクライナ戦争開戦から2年、NATO軍の元最高司令官が…

  • 7

    NATO軍とロシア軍がウクライナで直接衝突する可能性…

  • 8

    日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線

  • 9

    生涯賃金から見える日本の学歴格差、男女格差、地域…

  • 10

    ゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロは「ホラーで社…

  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の生物」が...発見した住民が、正体を突き止めるまで

  • 3

    大雪で車が立ち往生しても助けなし...「不信の国」中国のあまりにお粗末な防災意識

  • 4

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 5

    ビートルズの伝説が始まったあの「初登場」から60年.…

  • 6

    「ロイヤルな風格と優雅な姿」...シャーロット王女の…

  • 7

    ウクライナ戦争開戦から2年、NATO軍の元最高司令官が…

  • 8

    ロシア兵と若者の衝突...帰還兵が路上で一方的に暴行…

  • 9

    メーガン妃は今でも「プリンセス」なのか?...結婚で…

  • 10

    【アウディーイウカ陥落】ロシアの近接航空支援や滑…

  • 1

    【能登半島地震】正義ぶった自粛警察が災害救助の足を引っ張る

  • 2

    一流科学誌も大注目! 人体から未知の存在「オベリスク」が発見される

  • 3

    ルーマニアを飛び立ったF-16戦闘機がロシア軍を空爆?

  • 4

    日本人は知らない、能登半島地震に向ける中国人の視線

  • 5

    プーチンの顔面に「異変」が...「頬どうした?」と話…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    シャーロット王女の「ただならぬ風格」...5つの「フ…

  • 8

    メーガン妃に「手を触られた」瞬間の、キャサリン妃…

  • 9

    「まだやってるの?」...問題は「ミス日本」が誰かで…

  • 10

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story