3人に1人が貯蓄300万円未満 老後の経済問題は今後さらに深刻化する
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<還暦世代の貯蓄額は、2000万円に届かない人の割合が6割超え。そこに年金受給額の減額が追い討ちをかける>
今年、還暦を迎える日本人の約3割が、300万円未満の貯蓄額しかないとの調査結果が明らかとなった。昨年は老後2000万円問題が話題となったが、2000万円が本当に必要なのかはともかく、十分な蓄えを持たない高齢者が多いのは事実である。現役の労働者は今後、昇給がさらに抑制される可能性が高く、老後における経済問題はより深刻化する可能性が高い。
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命が、還暦を迎える男女2000人に対して行った調査によると、現時点における貯蓄額(配偶者がいる場合には配偶者の貯蓄額も加算)の平均は3078万円に達した。だが、平均値というのは数値の大きい一部のデータに引っ張られる傾向が強く、これだけで判断するのは危険である。
割合が最も多かったのは100万円未満で、全体の20.8%を占めていた。次いで500万~1000万円未満が12%、1000万~1500万円未満が11.9%、100万~300万円未満が11.6%となっている。300万円未満を合計すると32.4%、逆に2000万円以上は35.2%とほぼ同率だった。全体を俯瞰すると、300万円未満、300万~2000万円、2000万円以上が、それぞれ約3分の1だ。
日本型雇用の見直しによる影響
老後にいくら必要なのかは、基礎的な支出額や完全引退の年齢、年金受給額などによって変わるので一概には言えない。だが、貯蓄額が300万円未満で安定した老後を過ごせる可能性は低く、3分の1がこの条件に合致しているというのは、やはり厳しい状況と言わざるを得ないだろう。
一般的に貯蓄額と現役時代の年収はほぼ比例すると考えられる。年収が低い人は貯蓄も年金の受給額も少ないはずだが、今後はさらに事態が悪化する可能性が高い。コロナ危機の影響もあり、経済界は日本型雇用の見直しを加速している。既に複数の大手企業が、一律の定期昇給を廃止したり、優秀な人材に対しては新入社員の段階から高い賃金を払うなど人事制度の改革を進めている状況だ。
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