コラム

バックパックを背負った犬が歩くたび、自然が蘇る未来

2024年12月06日(金)17時30分

newsweekjp_20241205041334.jpg

バックパックを装着した犬と飼い主 STEVE LEWIS

それでも既に成功と言えるのが、地域社会の関わりだ。この地を長いこと歩いていた人々が土地の健全化に貢献し、SNSを通じて互いに、そしてトラストとつながっている。

バーバラ・ヘイドンと彼女の猟犬フリーダは週に2回、この土地を散歩する。「うちの子には多くの経験をさせたい」とヘイドンは言う。「彼女が走り回りながら種をまくのを見るのは素晴らしい。走るのがとても速いので、短時間でかなりの面積をカバーする。ただ自分らしくいるだけで大切な仕事をしているのを見るのは、とても誇らしい。あの子のことを見直した」


プロジェクトはメディアの高い関心を集めている。だが報道は必ずしもポイントを捉えていないと、ミードは言う。

「犬にオオカミの役割を担わせるというアイデアが関心を呼んだが、これは全体の取り組みの一部でしかない。私たちは野生種の影響を再現し、人間と自然の結び付きを回復することを目指している」

How dogs can help rewild an urban nature reserve by acting like wolves

次はイノシシを主役に

例えば保護区には小川があるが、ビーバーはいない。ビーバーのダムは水流を調整し、大雨の際は水流を遅くし、さらには水を浄化する助けにもなる。ダムは新しい生息地を形成し、その多様性を高める。

だが、ビーバーがいないのにビーバーダムを造るにはどうすればいいのか。1つの答えは、人にダムを造ってもらうことだ。「動物をまねろと言われたときの人々の行動は興味深い。現実を忘れて没頭する」と、ウォーカーは言う。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

金価格10週ぶり下落へ、ドル高重し 米CPI控えポ

ビジネス

東京ガス、アラスカ州のLNG調達に関心表明 

ワールド

米、ガザへの新たな援助物資供給方法の提案を検討

ワールド

中国の金融政策枠組み、AI影響下でも不変=人民銀顧
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 3
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story