コラム

イギリスのパブで偶然出会った日本語ペラペラのイングランド人...さらに驚いた偶然は?

2025年07月19日(土)19時18分
ロンドンのパブで談笑する人々

イングランドのパブには職業も社会的立場も様々な人が集う Jose Sarmento Matos/GETTY IMAGES

<これぞ社交の場の醍醐味...パブはイギリスらしさを感じられてビールを楽しめる場所というだけではない>

僕は悪名高きパブ愛好家だ。それにはいくつか理由がある――タップから注がれるイングリッシュ「エール」ビールは素晴らしい逸品だし、特に在宅勤務をしている僕のような人にとってはパブは良い気分転換の場になるし、パブは「イギリスらしさ」を強く感じさせてくれる。

パブは素晴らしい歴史を持ちイギリス的性格にあふれた偉大なるイギリスの伝統であり、僕は日本とアメリカに住んでいた間ずっと、本物の「パブに行く」ことを恋焦がれていた。


とはいえ僕が伝えたいのは、パブは単に「アルコールを消費する場所」ではなく人々と交わり、会話を交わす場であり、多くの場合はほんの短い時間ながら、職業も社会的立場もさまざまな人々とそうして触れ合える場所だということだ。

僕の記事やコラムでも登場させた有用な話題のなかには、パブで出会った人々から仕入れた情報も多い。「道行く人」を呼び止めてあれやこれやの問題についての考えを具体的に尋ねるよりも、僕は定期的に人々になんであれ話題になっていることを話しかけ、そのおかげで人々が何を考えているか理解することができる。だから、僕がビール片手にパブにいるときには、ある意味、すごく楽しいやり方で「仕事している」ようなものなのだ。

最近、特に思いがけない出会いがあった。ニューカッスルのパブで、日本語が堪能でシェフィールド大学(日本語コースが有名)で学び、その後東京で働いていたという、エイダンという名のイングランド人男性に会ったのだ。だから僕たちはたくさん話し込んだ。「僕も」日本語を話す、「僕も」東京に住んでいた、と。

さらに偶然なのは、彼の妻であるエリオットゆかりが、日本の読者向けにイギリスの食や暮らしを紹介する本を書いている作家だったことだ。「僕も」日本の読者向けにイギリスについての本を書いたんだ!(こんなことを言い合える人ってイギリス全土に50人も、いや15人だっているだろうか?)

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:米レポ市場、年末の資金調達不安が後退 F

ワールド

米、台湾への武器売却承認 ハイマースなど過去最大の

ビジネス

今回会合での日銀利上げの可能性、高いと考えている=

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story