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コリン・ジョイス Edge of Europe
僕の秘密のニューヨーク案内 パート1
ニューヨークに僕を尋ねてくれた友人たちは、決まってイライラすることになる。彼らが5番街をぶらぶらしたいとしても、僕はグリーンポイント(あまり知られていないが、とてもチャーミングなブルックリン郊外だ)に連れて行こうとする。エンパイア・ステートビルに上りたいと言えば、歴史から消え去ろうとしている古い工場を見ようと主張する。
セントラルパークやクライスラービルといった観光名所が嫌いなわけじゃない。ただ、ニューヨークにはもっとたくさんの場所があって、できるだけそれを紹介するのが僕の役目だと思っている。これから何回かに分けて、「知ってほしいニューヨーク」を紹介してみたい。
ブルックリンであまり知られていないスポットNo.1は、「ビクトリアン・フラットブッシュ地区」。ディスカウントストアや食料品店が並ぶチャーチアベニューから、並木道のラグビーロードへ入ると景色が一変。貧困地区のど真ん中に、巨大な邸宅群が突然現れる。ふつうは富裕層が住む地域や、郊外でしか見られないような家々だ。
この地区の歴史は1890年代の「実験」から始まる。ディーン・アルボードという変わり者だが先見の明のあるデベロッパーが、50エーカーの土地にそれぞれ特徴のある家が並ぶ「レジデンスパーク」を造ることを決意したのだ。この地区が面白いのは、家が巨大だからではない。アルボートが、アメリカのどこにもない、さまざまな様式の家が並ぶ町並みを実現しようとしたところが面白い。
■見ものは寺院をイメージしたジャパニーズスタイルの家
たいていのアメリカの町と同様に、この地区も退屈で月並みな直線道路で均等に区切られている。「東17丁目」「4番街」といった無機質な通りの名前は、伝統的なイギリス風の「ラグビーロード」「バッキンガムロード」「ウエストミンスターロード」に変わっているが、イギリス風の家屋はほとんどない。圧巻は、スイスのシャレー(山小屋)をまねた家や、スペイン風コロニアル住宅。その近くには、「クイーン・アン様式」の壮麗なビクトリアンハウスもある。この家では、映画『ソフィーの選択』の撮影が行われた。
映画では、「一文無しの作家」(僕じゃない)がニューヨークにやって来て、ブルックリンのまっピンクに塗られた下宿屋で部屋を借りる。今では建物の色はピンクでなく白に変わっている。でも、神経症気味の住人が、指揮の真似事をする姿が五重映しになった窓はそのままだ(映画の中でも印象的な場面だ)。
さらにすごいのは、1903年にアメリカ人建築家ジョン・ペティットが寺院をまねて造った3階建ての日本建築(バッキンガムロード131番地にある)。あまりに珍しくて目立っていたので、3年間は買い手が見つからず空き家だったらしい。最後は建築費以下の値段で売れたそうだ。それでも当時この家は、ランドマーク的存在で、絵葉書も売られていた。ブルックリン・デーリー・イーグル紙は「アメリカのどこにもない家」と書いた。
この日本家屋(とその周辺の地域)は、やたらと血気盛んだった楽観主義と、19世紀の天才の存在を思い起こさせてくれる。
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