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プーチン大統領を「侵略の罪」で裁ける? 欧州が団結して設置する「特別法廷」を知るための5つのポイント
2. プーチン大統領は裁判にかけられるのか
ロシアの3人の「トロイカ・メンバー」、プーチン大統領(国家元首)、ミハイル・ミシュスチン首相(政府首脳)、セルゲイ・ラブロフ外相は、在任中は起訴されることがないだろうと、複数のメディアが報じている。国家の現職の首脳は「(機能的)免責権」という特権をもっているからだ。
「検察官は、プーチン大統領に対する起訴状を発行することもできるが、在任中は裁判は行われないだろう。ただし大統領が職を離れると、不在であっても裁判を受ける可能性がある」と、『ル・モンド』はブリュッセルでの取材を報告している。
ただ、欧州評議会の公式サイトには「国際法は進化している」と、含みに取れるような文章がある。起訴は「権力から退いた場合」のほかに「免責が失われた場合」に可能性があるという。
フランス公共ラジオ放送『フランス・アンフォ』は、「現実には、プーチン氏が国家元首である限り、(大統領が裁判にかけられる)可能性は低いと考えられる」と断定を避けて報じている。
もし欠席裁判になった場合は、判決が不服なら手続きの再開を請求する権利があるが、その際は特別法廷に出頭しなくてはならない。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ビデオメッセージで「いかなる潜在的な侵略者も攻撃を仕掛ける前に二度考えるようにする」ためには、正義が必要だと述べた。
「私たちは皆、戦争犯罪者を法廷に立たせるのがいかに困難か理解しています。しかし、私たちは既に道を選択しました。ロシアはこの戦争の責任を問われるでしょう。これはヨーロッパの道義的義務であり、世界中で人間の命を尊重するすべての人々の義務です」と述べた。
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