ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、知財侵害巡り対中調査を指示

2017年08月15日(火)08時30分

 8月14日、トランプ米大統領(写真)は、中国による知的財産権侵害の実態を調査し、通商法301条の適用が必要かどうか判断するよう通商代表部(USTR)に指示する覚書に署名した。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、中国による知的財産権侵害の実態を調査し、通商法301条の適用が必要かどうか判断するよう通商代表部(USTR)に指示する覚書に署名した。

政府当局者らによると、調査は最長1年の時間を要する見通し。話し合いにより問題が解決されれば、301条に基づく調査は回避される可能性もある。

休暇先からワシントンに一時帰還したトランプ大統領は記者団に対し、対中調査を巡り「ライトハイザーUSTR代表に、あらゆる可能な選択肢を検討する権限を与えた」とし、「これは極めて大きな行動だ」と言明した。

ライトハイザー代表は声明で、知的財産権侵害により「将来の世代にわたり米労働者の何千人もの雇用が危険にさらされている」との認識を示すとともに、この調査はUSTRの「最優先課題」の1つだと表明。

中国の産業政策やその他慣行が、米国の主要な技術の移転を強要しているとの報告があるとし、「われわれは徹底的な調査を行い、必要ならば米産業の未来を守るため措置を講じる」と言明した。

これまでの米政権も、中国に進出した米国企業が現地合弁パートナーへの技術移転を義務付けられていることや、中国で知的財産侵害への取り締まりが徹底されていないことを問題視してきた。

米国が301条適用を決めた場合、調査の結果次第で大統領は、外国の「不公平な貿易慣行」から国内産業を守るため、一方的に関税やその他の貿易制限を発動できる。

アナリストは今回の米政府の動きについて、中国の商慣行修正を巡り、中国政府に圧力をかけ話し合いによる解決に持ち込むことが狙いと指摘する。

ただ、米国は北朝鮮問題を巡り中国に支援を要請していることもあり、米中間の緊張が高まることが予想される。

国営英字紙チャイナ・デイリーは14日付の論説記事で、米国の調査は両国関係を「害する」ことになると警告、トランプ政権に拙速な決断を回避するよう訴えた。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ミサイル駆逐艦が台湾海峡航行、中国は警告

ビジネス

ECB、急激で大幅な利下げの必要ない=オーストリア

ビジネス

ECB、年内利下げ可能 政策決定方法は再考すべき=

ビジネス

訂正(7日配信記事)-英アストラゼネカが新型コロナ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中