アクセルスペース、月内にも上場承認へ 6月IPO目指し=関係者

5月8日 小型人工衛星開発のアクセルスペースホールディングス(東京・中央)が、早ければ6月の株式新規株式公開(IPO)を目指していることが分かった。写真はアクセルスペースのロゴ。4月9日、都内で撮影(2025年 ロイター/Kantaro Komiya)
Miho Uranaka Kantaro Komiya
[東京 8日 ロイター] - 小型人工衛星開発のアクセルスペースホールディングス(東京・中央)が、早ければ6月の株式新規株式公開(IPO)を目指していることが分かった。月内にも東京証券取引所から上場が承認される予定。複数の関係者が明らかにした。関係者1人によると、SMBC日興証券が主幹事を務める。
同社はこれまでも上場のタイミングを模索していたが衛星の不具合や補助金申請の手続きなどの影響で延期しており、今後スケジュールが変更になる可能性もあるという。
上場が実現すれば、2023年4月の月面探査ベンチャーispaceを皮切りに宇宙関連スタートアップとしては5社目のIPOとなる。先の関係者の1人によると、時価総額の比較対象として、人工衛星を手掛けるSynspectiveやQPS研究所が挙がっている。両社の株価は、公開価格のそれぞれ約2.2倍、3.8倍まで上昇している。
SMBC日興証券は「個別案件についてはコメントを控える」とし、東証は「個別銘柄に関しては、上場申請を受けているかも含めて回答していない」とコメントした。アクセルスペースのコメントは得られなかった。
アクセルスペースは、東京大学の航空宇宙工学研究室出身者らが08年に設立。26年には小型地球観測衛星の新型機を7基打ち上げる計画も公表している。
<政府支援を呼び水に増えるIPO>
政府は30年代初頭までに宇宙戦略基金に総額1兆円を支出する計画で、事業に前例がなく資金調達の難しい宇宙ベンチャーの成長を後押ししている。
宇宙関連団体のSPACETIDE(東京・港)のCEO石田真康氏は、支援が拡大する中で「産業のファンダメンタルが良くなっており、宇宙スタートアップの上場は今後も十分可能性がある」とみる。
米スペースXの打ち上げでアジア最大の衛星搭載手続き支援事業者であるSpace BD(東京・中央)も数年以内の上場を目指しており、事業開発管理の金原紀秀氏は「上場によって人材確保や業務提携の機会が増える」との考えを示した。
一方で、市場では宇宙ビジネスの成長性や収益性に対する慎重な見方もある。KPMGコンサルティングの宮原進アソシエイトパートナーによると、事業の収益性を問う姿勢は「年々厳しくなっている」といい、宇宙ビジネスのデューデリジェンスの要請も出てきている。
大和証券で企業のIPOなどに携わるプライベート・キャピタルソリューション部の本多正浩シニアコーポレートアナリストは「これまで上場したのはそれなりの規模の売り上げがあり、黒字化を達成もしくはそれがある程度みえてきている企業。事業フェーズがそういう段階に差し掛かりつつある企業が今は少ない」と分析。宇宙関連IPOの「第2波」到来には一定の時間がかかるとの認識を示した。