トヨタ、円高や資材高で今期2割の営業減益に 米関税は4─5月のみ織り込む

5月8日、トヨタ自動車は2026年3月期の連結業績予想(国際会計基準)について、営業利益が前年比20.8%減の3兆8000億円になる見通しと発表した。写真は同社ロゴ。昨年2月、ニューデリーで撮影(2025年 ロイター/Anushree Fadnavis)
Nobuhiro Kubo Maki Shiraki
[東京 8日 ロイター] - トヨタ自動車は8日、2026年3月期の連結業績予想(国際会計基準)について、営業利益が前年比20.8%減の3兆8000億円になる見通しと発表した。販売台数の増加のほか、部品交換など新車販売以外の収益拡大を見込むものの、円高や資材価格の上昇、米国の関税政策の影響などを織り込んだ。
IBESがまとめたアナリスト25人の予想平均4兆7510億円を下回った。
売上収益は同1%増の48兆5000億円、純利益は同34.9%減の3兆1000億円を見込む。年間配当予想は1株95円と、前年から5円増額した。グループの総販売台数は認証不正の生産停止から回復し、同1.7%増の1120万台を計画する。
米国の関税政策の影響は4─5月分のみを織り込み、1800億円の営業減益要因とした。会見した佐藤恒治社長は「政府間交渉も含め、関税の詳細はまだ流動的で非常に先を見通すのは難しい」と説明。「すでに発動された部分をまずは(業績見通しに)含めた」と話した。
関税は国内生産の空洞化を招く可能性があるが、佐藤社長は「サプライチェーンをしっかり守りながら国内生産に取り組み、輸出をすることで外貨を稼ぐ。エネルギーなど日本国内に必要な取引に応用されていく観点から、国内生産をしっかり守るのはものづくり産業として重要なポイントだ」と語った。
為替変動による下押しは7450億円。前提レートは1ドル=145円(前年実績153円)、1ユーロ=160円(同164円)に設定した。資材価格上昇によるマイナス影響は3500億円と見込む。人件費や成長領域への投資も増える。一方、原価改善のほか、部品交換や中古車販売といった「バリューチェーン」の収益拡大などが3495億円の増益要因となる。
宮崎洋一副社長は「これをスタート地点に前期同様、改善を積み重ねていく」と語った。
25年3月期の連結業績は、営業利益が前年比10.4%減の4兆7955億円だった。認証不正の生産停止で販売台数は同0.7%減の1101万1000台だった。値下げの原資となる販売奨励金を抑制したほか、バリューチェーンの拡大などが下支えした。