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アングル:バフェット後も文化維持できるか、バークシャー次期CEOの手腕

2025年05月04日(日)07時29分

年末にウォーレン・バフェット氏の後継としてバークシャー・ハザウェイのトップに就くグレッグ・アベル氏は、伝説的な前任者のスター性には及ばないにしても、巨大企業の文化を維持することが期待されている。写真は年次株主総会で話すアベル氏。5月3日、アラバマ州オハマで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

(3段落目の表現を修正しました)

Koh Gui Qing Jonathan Stempel

[オマハ(ネブラスカ州) 3日 ロイター] - 年末にウォーレン・バフェット氏の後継としてバークシャー・ハザウェイのトップに就くグレッグ・アベル氏は、伝説的な前任者のスター性には及ばないにしても、巨大企業の文化を維持することが期待されている。

バークシャー副会長のアベル氏は62歳。投資家やアナリストたちから、1兆1800億ドル規模の巨大複合企業が持つ、長期的な企業への投資と株主への配当金支払いを控えるという実績を堅持することが期待されている。

鉄道会社、保険会社、アイスクリーム企業を傘下に持つバークシャーは、1965年から会社を経営してきた94歳のバフェット氏が退いたときに備えて何十年も前から計画を練ってきた。

それでも、バフェット氏が3日、アベル氏を最高経営責任者(CEO)の後任にすると発表したことは驚きを持って迎えられた。「オマハの賢人」はこれまで、退任時期について明確な意思を示していなかったからだ。

バフェット氏は以前から自身が高齢であることに言及していた。そしてネブラスカ州オマハで開催されたバークシャーの年次株主総会で退任を発表する前に、アベル氏の方が自分よりも優秀だと示唆していた。

「私とよりも、グレッグ・アベルとのほうがずっといい。彼ほど一生懸命働きたくないからね」とバフェットは語った。

子会社に対する経営手法はどうなるかと質問者から尋ねられたアベル氏は、「もっと積極的になる」と答えた。アベル氏はバフェット氏を賞賛し、「ウォーレンは明らかに驚くべき教師であり、私は長年その恩恵を受けてきた」と語った。

<労働者階級の出身>

グレゴリー・エドワード・アベル氏は1962年6月1日、アルバータ州エドモントンの労働者階級の家庭に生まれた。

2018年にアベル氏を表彰した教育非営利団体、ホレイショ・アルジャー・アソシエーション・オブ・ディスティンギッシュド・アメリカンズによると、彼はさまざまな仕事をし、使用済みのビンの清掃や消火器の充てん作業などをしていた。

同団体のウェブサイトに掲載されたビデオの中で、アベル氏は自分の幼少期についてこう語っている。「ときには仕事があり、ときには仕事がないような本当の労働者階級の家庭だった。家族全員が家族を前進させるために一生懸命働いていた」。

アベル氏は1984年にアルバータ大学を卒業し、プライスウォーターハウスクーパース、エネルギー会社のカルエナジーで働いた。

1992年にバークシャー・ハザウェイ・エナジー(当時はミッドアメリカン・エナジー)に入社し、後にバークシャー社が買収、2008年にミッドアメリカン社のトップに就任した。

アベル氏は現在、鉄会社のBNSF、バークシャー・ハザウェイ・エナジー、数十の化学、工業、小売事業など、バークシャーの保険以外の事業を担当している。

アベル氏は昨年、資本をどう配分するかというバフェット氏が担っていた責任の一部も引き継いだ。

バフェット氏は昨年、バークシャーが保有する上場株式の最終決定権もアベル氏に任せたいと述べていた。

アベル氏と働く企業幹部の多くは、同氏を鋭い質問者と呼ぶ。財務指標を綿密に精査し、事業とその経営方法をよく理解しようとしているという。

「(アベル氏の質問は)会社の方向性や計画を確実に考え抜いている」と、住宅不動産仲介の米大手ホームサービシーズ・オブ・アメリカのクリス・ケリーCEOは言う。「彼と会話をすると、より賢くなる」。

ロイター
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