バフェット氏、バークシャーCEOを年末に退任 後任にアベル副会長

B米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は3日、自身の投資会社バークシャー・ハザウェイ の最高経営責任者を年末に退任し、グレッグ・アベル副会長に後任を譲ることを明らかにした。写真は年次総会で話すアベル氏。5月3日、ネブラスカ州オマハで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)
Jonathan Stempel Suzanne McGee
[オマハ(ネブラスカ州) 3日 ロイター] - 米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏は3日、自身の投資会社バークシャー・ハザウェイの最高経営責任者(CEO)を年末に退任し、グレッグ・アベル副会長を後任とする考えを明らかにした。
繊維メーカーとして落ち目だったバークシャーを、1兆1600億ドルの巨大複合企業へ変貌させた「バフェット経営」の60年が幕を下ろすことになる。
94歳のバフェット氏は米ネブラスカ州オマハで開かれたバークシャーの年次株主総会で、「グレッグが年末、最高経営責任者になるべきときが来た」と語った。
取締役でもある自身の子供2人には自身の計画を伝えていたものの、アベル氏とバークシャーの取締役のほとんどは発表前に計画を知らなかったとした。
62歳のアベル氏は2018年からバークシャーの副会長を務めており、21年にバフェット氏の後継者に指名されていた。
アベル氏は株主に「バークシャーの一員として今後も進んでいくことに、これ以上の謙虚さと光栄を感じることはできない」と語った。
バフェット氏はまた、バークシャー株を売却するつもりは「全くない」と述べた。死後、ほぼすべてを寄付するという。米誌フォーブスによれば、バフェット氏自身の総資産は1682億ドルでほぼ全てをバークシャー株が占める。
バフェット氏は「バークシャーの将来は、私よりもグレッグの経営下でより良くなると思う」と語った。
<賛辞相次ぐ>
退任発表を受けて、大手企業のCEOや投資家たちからバフェット氏への賛辞が相次いだ。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは「バフェット氏は、米国の資本主義、そして米国自体の良さ全てを象徴している。誠実さ、楽観主義、そして常識を持って、米国とその企業の成長に投資している」と語った。
アップルのティム・クックCEO は「ウォーレンのような人物はこれまでいなかったし、私も含め、数え切れないほどの人々が彼の知恵に刺激を受けてきた。彼と知り合えたことは、私の人生の中で大きな特権の一つだ」とXに投稿した。
スミード・キャピタル・マネジメント社のコール・スミードCEOはバフェット氏の発表後、同社を創設した父親に対し、「一つの時代が終わる。悲しいことだが、これも人生だ」と語った。
<バークシャー株の行方>
バークシャーの株価は今年、S&P500が3%下落する中で19%上昇した。
多くの投資家はバークシャーとバフェット氏の経営手腕を、この先の経済やトランプ米大統領の関税政策を巡る不確実性からの安全な避難所と見なしてきた。
CFRAリサーチのアナリスト、キャシー・シーファート氏は「バフェット氏がいなくなったとき、バークシャーはバフェット・プレミアムを維持できるのだろうか。株を買うということは、伝説的な人物の投資手腕も手に入れるということだ。そのレジェンドがいなくなれば、どんな価値があるのだろうか」と疑問を投げかけた。