ニュース速報

ビジネス

英中銀、予想通り0.25%利上げ インフレ低下を見込む

2023年03月24日(金)01時14分

イングランド銀行(英中央銀行)は23日、政策金利を0.25%ポイント引き上げ4.25%とした。2020年12月撮影(2023年 ロイター/Hannah McKay)

[ロンドン 23日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は23日、政策金利を0.25%ポイント引き上げ4.25%とした。国内インフレ率の急上昇はこれまでの予想よりも早く鈍化するとの見通しを示した。

利上げは7対2で決定。市場も0.25%の利上げを予想していた。2021年12月以降11会合連続の利上げだが、利上げ幅は昨年6月以降で最小となった。

金融政策委員会(MPC)のディングラ委員とテンレイロ委員は金利の据え置きを支持、過去に大幅利上げを主張してきたマン委員は0.25%の利上げに賛成した。

MPCは、利上げを急速に進める緊急性は低いと認識しているとのメッセージは変えなかった。「タイトな労働市場状況、賃金の伸びやサービスインフレの動向など、持続的なインフレ圧力の兆候をMPCは引き続き注意深く監視していく」とした。

その上で「一段と持続的な圧力の証拠が示された場合、金融政策のさらなる引き締めが必要になる」と指摘した。

2月のインフレ率が10.4%に急上昇したが、4-6月期の物価上昇率は引き続き急低下するとの見方を示した。

イングランド銀は、銀行の混乱に起因する世界的な金融市場の「大きく不安定な動き」を指摘したが、金融行政委員会(FPC)は英国の銀行システムが引き続き底堅いと判断していると指摘。その上で「家計や企業が直面する信用状況への影響、マクロ経済とインフレの見通しへの影響をMPCは引き続き注意深く監視していく」と述べた。

<インフレ低下確認する必要>

ベイリー中銀総裁は今回の金融政策委員会後の記者会見は行わなかったが、会合後に中銀が公表したビデオで「中銀はすでに大きく金利を引き上げている」とし、「インフレ率は夏前にかなり急速に低下し始めると予想しているが、昨日に発表された2月の指標はインフレ低下を確認する必要があることを示している」と述べた。

英国立統計局(ONS)が22日発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.4%上昇し、伸び率が前月の10.1%から予想外に拡大した。

総裁は記者団に対し、金利水準について「これがピークになるかは分からない」と指摘。「インフレがピークに達する兆しが見えてきたと言うことはできるが、まだあまりにも高い水準にある。インフレ率が段階的に低下し、目標に戻るのを確認する必要がある」と述べた。

<第2・四半期成長見通し上方修正>

中銀は、今年第2・四半期の国内総生産(GDP)は小幅拡大するとの見方を示した。2月時点では0.4%のマイナス成長に陥ると予測していた。

労働市場については、雇用の伸びが従来予想よりも強くなるとの見方を示した。賃金の伸びがこれまでの平均を大きく上回り、労働力不足が解消されていないことは物価上昇につながるため、 中銀は労働市場の力強さを懸念。ただ、インフレ期待が低下したことで、賃金の上昇は従来予想よりやや縮小するとの見方も示した。

ハント財務相は、インフレ対応策の一環として今回の利上げを支持すると表明した。

JPモルガン・アセット・マネジメントの欧州・中東・アフリカ(EMEA)のチーフ・マーケット・ストラテジスト、カレン・ウォード氏は、英国ではインフレが根強いものになるとの懸念が他の国よりも強いとし、英中銀は将来的な政策に関するガイダンスを示すのを控える必要があると指摘。「過去1年間、中銀は金利が現在の水準でピークに達するとの見通しを示唆してきたが、インフレ指標ではそうならないことが示されている」とし、「中銀はインフレ率を引き下げるためにあらゆる措置を実施すると表明するにとどめ、自由度を残しておく必要がある」と述べた。

ナットウエスト・マーケッツのグローバル経済部門責任者、ロス・ウォーカー氏は「中銀は2月のCPIにそれほど動揺していないように見える」とし、「今回の中銀声明の全体的なトーンは穏やかにハト派的だった」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ニデック、4―9月期純利益58%減 半期報告書のレ

ビジネス

年内に第三者委員会から最終報告が出る状況にはない=

ビジネス

26年春闘の要求、昨年より下向きベクトルで臨む選択

ビジネス

仏CPI、10月前年比+0.8%に減速 速報から下
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中