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米個人消費支出、8月の伸び0.1%止まり

2017年09月30日(土)04時44分

 9月29日、8月の米個人消費支出は0.1%増に鈍化した。写真はニューヨークのスーパーで8月撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid)

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した8月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.1%増と、7月の0.3%増から勢いが鈍化した。

市場予想と一致した。ハリケーン「ハービー」の影響で自動車の購入が減った。

また米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としているコア個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2015年11月以来の低い伸びとなった。第3・四半期国内総生産(GDP)が前四半期から勢いを失うことを示唆した。

コアPCE物価指数は前月比0.1%上昇。4カ月連続で0.1%上昇となっている。前年同月比は1.3%上昇と、7月の1.4%上昇から鈍化した。

ただ軟調な統計を受けても、FRBが今年12月に利上げするとの見方はあまり変わっていない。FRBのイエレン議長は26日、インフレの不確実性がある中でも利上げを継続する必要があると述べた。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米経済情勢は最近のハリケーンによってかなりの打撃を被ったことを示している」としたうえで、「FRBは賢明にも第3・四半期の景気のソフトパッチ(一時的な軟化局面)に目をつぶるだろう」と語った。

CMEグループのフェドウォッチによると、市場関係者が織り込む12月の利上げ確率は直近で約71%。統計発表前は76%だった。

個人消費は米経済の3分の2以上を占める。8月の数字は涼しい気温の影響で冷房需要が減ったことも反映した。

8月のインフレ調整後の個人消費は前月比0.1%減と、1月以来初めてマイナスとなった。

商務省当局者は、8月の統計がハービーの影響を反映していると指摘。ただ統計においてハービーの要因だけを切り離すことはできないとした。データを入手できなかったもの、またはハリケーンの影響を完全に織り込んでいないものについては推計値を調整したと述べた。

ハリケーンの影響を受けていない部門は好調に推移していることも明らかになった。9月のシカゴ地区購買部協会景気指数が65.2に上昇。受注残高が29年ぶりの高水準になる中、市場予想の58.5を上回り、過去約3年で2番目に高い水準となった。

8月の内訳は、耐久財が1.1%減。商務省当局者は、新車の売り上げが減ったことが主な押し下げ要因だったと述べた。

8月の個人消費支出は、ハリケーンが第3・四半期の経済成長を抑制することを示す最新の兆しとなった。第2・四半期GDPは3.1%増と好調な伸びを示し、個人消費が大きな押し上げ要因だった。8月下旬にテキサス州を直撃したハービーは鉱工業生産と住宅建設、住宅販売に響いた。9月上旬にフロリダ州を直撃したハリケーン「イルマ」で経済はさらに弱含むとみられる。エコノミストらはハリケーンが第3・四半期GDPを最大0.6%ポイント押し下げる可能性があるとみている。ただその後は復興活動で第4・四半期GDPは持ち直すとの見方だ。

ハービーはまた、所得にも響いたとみられる。8月の個人所得は前月比0.2%増と、7月の0.3%増から鈍化した。賃金・給与は横ばい。7月は0.5%増加していた。貯蓄は5229億ドルと、16年12月以来の低水準に落ち込んだ。7月は5248億ドルだった。

バンク・オブ・ザ・ウエストの首席米国エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は、ハリケーンの影響による操業停止などを受け、た失業を背景に「全米レベルで前月の賃金の伸びはゼロになった」と指摘した。

*内容と写真を追加して再送します。

ロイター
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