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情報BOX:主要自動車メーカーのメキシコ生産

2017年01月17日(火)14時46分

 1月16日、トランプ次期米大統領は、ドイツの自動車メーカー大手BMWがメキシコの新工場で生産を計画する米国向け自動車に35%の国境税を課す方針を示した。写真はBMWの車輪ロゴ。メキシコシティで2014年7月撮影(2017年 ロイター/Carlos Jasso)

[16日 ロイター] - トランプ次期米大統領は、ドイツの自動車メーカー大手BMWがメキシコの新工場で生産を計画する米国向け自動車に35%の国境税を課す方針を示した。

センター・フォー・オートモーティブ・リサーチによると、メキシコでの自動車生産は北米全体の5分の1を占め、2010年以降では自動車関連で240億ドル超の投資を呼び込んでいる。

メーカー各社は日本、ドイツ、韓国といった国々から約330万台の生産を移すため約130億ドルを投資する計画で、メキシコでの組み立て能力は2010年からの10年間で倍増するとみられている。

以下は主要な自動車メーカーのメキシコでの生産に関する状況。生産台数はメキシコ自動車工業会による。

◎日産自動車

2015年のメキシコ生産:82万2948台

メキシコで操業する最大の自動車メーカー。最初のメキシコ工場を建設したのは50年前で、現在は主に「ヴァーサ」や「セントラ」を製造。生産品の約半数を米国に輸出する。同社は米国内にも製造工場を保有している。ゴーン最高経営責任者(CEO)は今月、トランプ政権を注視し、どのような政策にも対応するとの考えを示した。

◎ゼネラル・モータース(GM)

2015年のメキシコ生産:69万0446台

トランプ氏は、GMが米国で人員削減し、メキシコで製造をしていると非難した。同社は14年、メキシコ工場に50億ドルを投資すると発表。その一環で、15年に新型「シボレー・クルーズ」生産のため3億5000万ドルをメキシコに投資した。同社はこれについて、海外顧客に対応する戦略だと説明した。

昨年11月には、17年初めに米国2工場で2000人を削減する計画を表明。バーラCEOは今月、メキシコでの投資計画について聞かれると、コメントできないとする一方、トランプ政権とは協力する意向を強調した。

◎フィアット・クライスラー

2015年のメキシコ生産:50万3589台

マルキオンネCEOは今月、トランプ氏の通商政策と税制政策を巡る不確実性が対メキシコ投資の遅れに結び付く可能性があると指摘。また、米工場に10億ドルを投資し、2000人の雇用を創出する計画を示した。ピックアップトラック「ラム」の一部生産をメキシコから米国に移すかどうかは、まだ決めていないと語った。

◎フォルクスワーゲン(VW)

2015年のメキシコ生産:45万7517台

約50年間、メキシコ工場を操業。米国からメキシコへの生産移転は計画していない。メキシコ国内の従業員は1万6500人で、15年は34万5000個のエンジンも製造。一方、米国内ではテネシー州の工場で約3200人を雇用し、15年は8万7000台を製造した。15─19年に米国に70億ドルの投資を計画。メキシコでは昨年、傘下のアウディが13億ドルを投じた工場を開設した。

◎フォード

2015年のメキシコ生産:43万3752台

トランプ氏の批判を受け、今月になってメキシコでの16億ドル規模の新工場建設計画を撤回し、ミシガン州の工場に7億ドルを投資し700人を新規雇用すると発表した。フィールズCEOは、メキシコ工場で生産を予定していた小型車への北米需要が低下していることが理由だとし、トランプ氏が大統領選に勝利しなかったとしても同じ決定をしたと述べた。同社は、小型車「フォーカス」の生産をミシガン州からメキシコの既存工場に移す計画を変更していない。

◎ホンダ

2015年のメキシコ生産:20万3657台

メキシコでは2工場を稼働。自動車とともにオートバイ約10万台も生産している。同社の米国販売のうち、メキシコ製造車の割合は10%以下。昨年10月、新型SUV(多目的スポーツ車)「CR─V」の生産をメキシコから米国へ移すと発表。ただ、同社の八郷社長は、メキシコ事業に関する方針を「すぐに変えるという気もないし、当面はそのまま継続していく」と話した。

◎マツダ

2015年のメキシコ生産:18万2357台

メキシコでは米国向けに「マツダ3」の生産を14年に開始。同社の米国販売のうち、メキシコで製造する車の割合は約30%。

◎トヨタ自動車

2015年のメキシコ生産:10万4810台

メキシコのバハ・カリフォルニア州での生産を18年までに約16万台に引き上げる計画。また、グアナファト州でも工場建設を計画しており、19年の操業開始時の年間生産能力は20万台という。

トランプ氏は今月、トヨタが米国市場向けの自動車をメキシコの工場で生産すれば、多額の税金をかけると警告。これに対し豊田章男社長は、政治状況にかかわらず、米国での生産強化は常に考えていると指摘した。

同社の米国販売のうち、メキシコで製造する車の割合は10%以下。ただ、グアナファト州で建設中の工場では、現在ミシシッピ州などの米工場で生産しているカローラを製造する予定。

同社の今後5年間の米国投資額は、過去5年と同規模の100億ドルに上るという。

◎BMW

新工場をメキシコに建設中で、19年までに22億ドルを投資する計画。同工場は年間15万台を生産し、世界市場に輸出するという。同社は米国にも複数の大規模工場を持ち、アジアや欧州向けのSUVを生産している。

◎ダイムラー

メキシコのアグアスカリエンテス州で18年にメルセデス・ベンツの生産を開始する予定。投資額は10億ドルに上り、工場はルノー・日産グループと共に運営する。

ロイター
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