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EU、排ガス不正問題でドイツや英国に法的措置へ

12月8日、欧州連合(EU)は自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題の発覚後も規制逃れの取り締まりに乗り出さなかったとして、ドイツや英国を含む加盟7カ国に対し法的措置を取るための手続きを開始した。写真は2015年9月、ロンドンで(2016年 ロイター/Neil Hall)
[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)は8日、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)
EUは、加盟国の政府が強い力を持つ自動車業界と結託しているとみており、欧州委員会は持てる最大限の力を使って、健康被害をもたらすような排ガスを出すディーゼルエンジン車の取り締まりをEU加盟国に強制しようとしている。その是非は法廷で争われることになるかもしれない。
ドイツの当局者は、EU懐疑派の台頭や英国のEU離脱決定で欧州統合のありようが試されている時に、EUが域内最大の大国であるドイツや、その最も大きな自動車メーカーと対決するとは思えないとしてきた。この当局者は、EUの法律はうまく整備されていないとも指摘している。
しかし、8日の事案はEU当局の幹部らが、有権者にその存在を誇示したい欧州議会から圧力を受けていることを示している。
ドイツ、英国、スペインやルクセンブルクは、窒素酸化物(NOx)の排出値をごまかすために違法なソフトウエアを使ったVWが米国で直面したような罰則を、自国内で科していないとして追及されている。窒素酸化物は呼吸器障害を引き起こし、人の寿命を縮めるとされている。
欧州委はドイツと英国について、いわゆる「ディーゼルゲート」に関する調査で発覚した不正の疑い事案の開示を拒否していることも問題視。開示がなければ監督権限を行使できないとしている。
このほか、チェコやリトアニア、ギリシャについては、自動車メーカーが違反した場合に罰則を科す法的枠組みがないと指摘している。
8日の通告は、加盟国に対して取られる違反手続きとされるものの第1歩で、加盟国28カ国に対しEU全体で合意した規制の遵守を求める内容。加盟国は2カ月以内に回答する必要があり、十分な回答がない場合には、ルクセンブルグのEU裁判所への提訴が可能になる。