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米ロ当局者、ロシア産ガスの欧州向け輸出本格再開巡り協議=関係者

2025年05月09日(金)08時10分

5月8日、 米国とロシアの政府当局者が、ロシア産天然ガスの欧州向け輸出を米国が関与する形で本格的に再開する道筋を協議している。独ロイナの化学製品関連施設で4月撮影(2025年 ロイター/Lisi Niesner)

[ロンドン/モスクワ 8日 ロイター] - 米国とロシアの政府当局者が、ロシア産天然ガスの欧州向け輸出を米国が関与する形で本格的に再開する道筋を協議している。事情に詳しい8人の関係者がロイターに明かした。

欧州は2022年、ロシアがウクライナに侵攻したことを受け、同国からのガス輸入を減らした。

ただトランプ米大統領がロシアとウクライナの戦争終結を働きかけ続ける中で、ロシアと欧州のガス取引が復活する可能性が浮上しつつある。

米・ロシア間の協議に詳しい複数の関係者によると、ロシアに欧州連合(EU)のガス市場においてまた重要な役割を与えることは、プーチン大統領に和平合意を受け入れさせる一助になる可能性がある。

欧州の一部諸国はなおロシアからガスを購入しており、業界関係者は和平合意が成立すれば、欧州域内へのガス流入がもっと増えるだろうと予想する。

ロシア側からすると、3年前に欧州のガス市場を失ったことほど自国経済にとって大きな痛手はなかった。現在の欧州のガス需要に占めるロシアの供給比率はかつての40%から19%に低下している。

欧州ではロシアからのエネルギー購入を本格再開することに抵抗が強いものの、取引に米国が介在すれば、そうした政治的な反発を和らげる効果が期待できる。

また複数の関係者は、米国にとってもロシア産ガスの欧州への流入量を明確に把握し、場合によっては管理することも可能になると説明した。

2人の関係者は、米国のウィットコフ中東担当特使とロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁がウクライナ和平問題の一環として対欧州ガス取引の問題を話し合ったと述べた。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は4月のフランス誌ル・ポワンのインタビューで、ロシアはガスを取引する用意があり、一部の欧州諸国は依然としてそれを買いたがっていると発言した。

5人の関係者によると、米国の具体的関与については、ロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプライン「ノルドストリーム」、ロシア政府系天然ガス企業ガスプロムなどの一部権益を米国の投資家が取得する案や、米国企業がガスの買い手になって欧州向けに出荷する案などが議論されているもようだ。

現時点でもブラックロック、バンガード、キャピタル・グループといった米企業がそれぞれガスプロムの株式1-2%を保有している。

ロイター
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