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アングル:逆行高銘柄の中心に中小型株、大型株は敬遠

12月4日、東京株式市場では主力株総崩れの中で逆行高となった銘柄も少なくない。物色の中心は内需関連や中小型株だ。写真は都内の株価ボード(2015年 ロイター/TORU HANAI)
[東京 4日 ロイター] - 4日の東京株式市場は、主力株総崩れの中で逆行高となった銘柄も少なくない。物色の中心は内需関連や中小型株だ。欧州中央銀行(ECB)の追加緩和策への失望でリスク回避が広がり、大型株が敬遠される一方、業績期待の強い中小型株に絞った投資行動が目立ってきた。
<主力株はほぼ全滅>
日経平均<.N225>は4日の市場で400円超の大幅下落となった。東証1部の値下がり銘柄は9割弱の1696とほぼ全面安商状。うち主力株が中心のTOPIX100構成銘柄では、東芝<6502.T>とのパソコン事業統合検討が材料視された富士通<6702.T>などを除く98銘柄が下落した。
ECB理事会後の外為市場ではユーロ高/円安が急速に進行したが、業績面でメリットが出るはずのマツダ<7261.T>は2.58%安。下落率は日経平均の2.18%よりも大きかった。同様にソニー<6758.T>が2.4%、ニコン<7731.T>が1.58%の下げなど、対ユーロの円安はほとんど材料視されなかった。
「為替のメリットよりも、大型株はポジション調整売りに押された。今回のECB後にユーロ高が進んだように、利上げを織り込んでドル高が進んだこともあり、12月の米利上げ後の『ドル安』も外需株は警戒されている」(中堅証券)という。
<人気株は化粧品関連や試験機など>
4日の市場で、相場の地合いに逆らい上昇したのは160銘柄あった。
前日比9%超高と東証1部で値上がり率トップとなったのは、化粧品の口コミサイト「アットコスメ」を運営するアイスタイル<3660.T>。「サイト運営の収益を新分野につぎ込んできたため、しばらく利益は伸び悩んでいたが、ここに来て小売事業などで投資の成果が実りつつある。今後も業績がさらに伸びるとの期待感が強まっている」(三木証券・投資情報部課長の北澤淳氏)という。
前日比5%超高で値上がり率5位のエスペック<6859.T>は、温度・湿度などの環境変化が電子機器・製品に及ぼす影響を評価・分析する試験機を手掛け、この分野で国内トップクラスのシェアを持つとされている。2016年3月期の営業利益予想は前年比約6%増と控えめだが、事業の安定性が評価されている。
中小型株には内需関連銘柄が多く、相対的に外部環境の変化の影響を受けにくい。フィリップ証券・リサーチ部長の庵原浩樹氏は「米国でも直近では、中小型株のラッセル2000がダウ平均よりもパフォーマンスが良かった。海外投資家の主体の東京市場も同じような発想で動く余地がある」と指摘している。
<内需株も引き続き堅調>
食品株と医薬品株も、値上がり銘柄が多かった。雪印メグミルク<2270.T>やハウス食品グループ本社<2810.T>、サイバーセキュリティ関連銘柄のトレンドマイクロ<4704.T>、ジェネリック(後発医薬品)の普及期待が根強い沢井製薬<4555.T>などテーマ性のある銘柄も堅調に推移した。
年初来のTOPIX規模別指数の上昇率を見ると、大型株価指数は9.6%なのに対し、中型株価指数は15.8%、小型株価指数が12.9%となっている。直近1カ月間をみても、中型株、小型株が大型株をオーバーパフォームしている。
パインブリッジ・インベストメンツ執行役員の前野達志氏は、米利上げ後のドル/円の先行きに対する見方が分かれている現状では「日本株にプラスのシナリオが実現するかがはっきりせず、輸出関連の株価にマイナスの作用を及ぼしている」と指摘。
景気敏感型よりも堅調な業績が期待できる内需、ディフェンシブ関連が選好されやすい状況が続いていると話している。
(長田善行 編集:田巻一彦)