ニュース速報

ビジネス

インタビュー:消費者金融を収益の柱に=工藤・新生銀次期社長

2015年05月29日(金)02時19分

 5月29日、新生銀行の工藤英之次期社長はロイターのインタビューに応じた。写真は同行のロゴマーク。都内で2010年10月撮影(2015年 ロイター/Yuriko Nakao)

[東京 29日 ロイター] - 新生銀行<8303.T>の工藤英之次期社長はロイターとのインタビューで、現在策定中の中期経営計画で、大手銀行とは異なるビジネスモデルを構築し、盛り込んでいきたいと語った。

具体的には、グループ傘下の企業で展開する消費者金融事業を収益の柱と位置付けるほか、法人部門は小型のプロジェクトファイナンスなど特色ある融資ビジネスを展開する方針を示した。

工藤氏は、6月の株主総会後の取締役会で社長に就任する。公的資金注入行のりそなホールディングスやあおぞら銀行<8304.T>は6月にも完済する計画で、めどが立っていないのは新生銀だけとなる。

主な一問一答は以下の通り

――現在、中計経営計画を策定中だ。

「今、われわれの持っている経営資源が何か。強みや弱み、マーケットでの立ち位置は何なのか。これらを見直している。今の新生銀行に似ている銀行は他に存在していないので、メガバンクとは異なるビジネスモデルが出てくるはずだ。法人ビジネスのやり方を変えてもいいし、消費者金融事業を持っている利点もある。新しいビジネスモデルを中期経営計画で示せるのではないかと思っている」

――具体的にはどんなものになるのか。

「各レベルで自由な議論をしているので、決めつけたくはないが、主要な要素になるものはある。そのうちの1つは、コンシューマーファイナンス(消費者金融)だ。国内のファイナンスビジネスで珍しくきちんと利ザヤが取れてるビジネス。これまで市場が縮小してきたが、この1―2年で残高が伸び始めた。この残高拡大と利ざやの維持は大きなポイントだ。ただ、まだまだ物足りたいのは、買収した傘下の企業や銀行本体で必ずしもシナジーが生まれていない。グループでの一体運営できるようにしていきたい」

――法人部門は。

「法人は、いろんなトライアルをやってきた。しかし、残高も顧客数も伸ばそうとしてフォーカスしきれなかった部分もある。ばく然と件数や残高で追いかけるのではなくて、絞り込みをきちんとしないといけない。われわれがメガと同じようにユニバーサルサービスを提供する意味はない。われわれと付き合って意味があると顧客に思ってもらわないと持続しない。われわれも顧客も、お互いに選別が進むのだろうと思う」

「キャッシュフローファイナンスやストラクチャードファイナンスなどには強みがある。国内では、再生可能エネルギーのプロジェクトなどは、規模がちょうどいい。われわれなりに案件の組成ができて、地元の地銀に声をかけることができる。特殊なファイナンスのノウハウで案件を組成しながら、地銀と連携することはできるのではないかという議論はしている」

――消費者金融事業の海外展開は。

「常に意識はしている。国内市場は底を打ったので、当面は残存者メリットは享受できると思うが、もう少し長いタームで考えると、人口動態考えてもそうそうは伸びない。われわれはかなりソフィスティケートされたオペレーションを持っており、成長途上にある国、たとえばベトナムや中国本土などにチャンスはないかと考えている」

(布施太郎 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、英と「画期的な」貿易協定で合意 関税交渉で初 

ビジネス

米卸売在庫3月は0.4%増、小幅下方改定

ワールド

ロシアとウクライナ、相互に非難 停戦発効後も攻撃継

ビジネス

貿易戦争の長期化、カナダ経済と金融安定性への脅威=
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 8
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中