大国間の競争、同盟関係、影響力圏の「3体問題」

世界全体に目を転じると、多国間の通商協定に代わり、2国間の通商協定や保護貿易主義が台頭している。そして、世界第2の強国である中国は、海洋に関する国際法や合意を公然と無視して行動している。

2010年頃、中国が「超大国」と見なされるようになった時点で、アメリカが唯一の超大国として世界に君臨する時代が終わりを迎えつつあることは明らかだった。しかし、中国だけでなく世界の多くの国が教育やテクノロジー、富でアメリカと肩を並べ、さらにはアメリカを追い抜くようになった。皮肉な話で、この現象は、第2次大戦後にアメリカが牽引して、ルールに基づく国際秩序を確立した産物と言えるが。

フーシ派の紅海における活動は、それだけでルールに基づく国際秩序にとどめを刺すものとまでは言えないが、そうした国際秩序を崩壊させる一要素にはなる。今回の動きは大国間の競争、同盟関係、影響力圏という3つの要素が「3体問題」のように複雑に作用し合い、世界が不安定化するに至った歴史の転換点の1つになるかもしれない。

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