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「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
茜 ただ、落下するのがもっと小さい天体だとしても、たとえば原子力発電所を直撃するなど「当たりどころ」が悪ければ、大災害を起こす可能性があるのではないですか。
JAXAからいただいた資料によると、ここ10年くらいの記録では、地球に衝突した天体のうち直径2~3メートルのものはだいたい数時間から20時間前に発見され、直径1メートル程度の場合は早くても約12時間前にならないと発見できなかったようです。
藤本 僕ら研究者から見ると、「そんなに小さな隕石を数時間以上前に見つけて、落ちる場所を正確に想定して、待ち構えて写真を撮ることができた。すごい!」という感覚なのですが、一般の人はそう感じるのですね。難しいな。
茜 地球突入前に数メートル程度の天体なら、落下時にかなり燃え尽きていて地上に到着したときには被害がほとんどなさそうなのですが、約1500人が負傷したチェリャビンスク隕石(2013年2月にロシアに落下した直径約17メートルの天体)クラスの大きさではどうでしょうか。10数メートルから100メートルくらいの天体で現在見つかっていないものは、どれくらい前に発見できて地球衝突が予測できそうですか。
藤本 ちょっと待ってください。今、正確なところを調べますので。
(JAXA職員の岩城陽大氏が確認。「地球めがけて夜側から接近するなど、良い条件であれば数週間前に分かるかと思います」)
茜 ちなみに、宇宙空間では2022年にNASAが小惑星に探査機をぶつけて軌道を変える実験に成功していますが、地球に小惑星が突入した後に軌道を変える方法はあるのでしょうか。たとえば「アメリカのホワイトハウスにそれなりの大きさの天体が直撃しそう」という状況では、どうするのでしょう?
藤本 迎撃できるとしても、隕石の直撃被害を軽減するために爆破した場合、「1つ1つは小さくなるけれどバラバラになって広範囲に飛び散って、かえって被害が拡大するかもしれない」という問題と隣合わせなんですよ。アメリカに落ちるはずの隕石を爆破したら、破片が国境を超えてカナダまで飛んでいった、なんて問題も起こり得ますしね。
岩城 そういうときの対応も、プラネタリーディフェンスの国際会議で検討されています。