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「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
JAXA宇宙科学研究所教授・所長
藤本正樹(ふじもと・まさき)
1964年大阪生まれ。幼稚園時代をロンドン、中学時代をニューヨークで育つ。東京大学理学部地球物理学科卒、同大学院理学系研究科地球物理学専攻博士課程修了。専門は宇宙プラズマ物理学・惑星系形成論。JAXAでは様々な国際協力プロジェクトに貢献し、特に火星衛星探査計画MMXの立ち上げに尽力。小惑星リュウグウの試料が入ったカプセル(探査機「はやぶさ2」から分離して地球に帰還したもの)の回収隊にも参加した。
茜 登壇していた他の研究者やJAXA職員は「茜さん、非科学的な噂について、こんなところで取り上げるなんて」と苦笑していました。それは私も想定内でしたが、藤本先生が真剣な表情で「3月31日までなら無視していたけれど、今日、ここに来て女性がたくさんいるのを見て『需要があるのかな』と思い始めた」と答えてくださって。藤本先生は4月1日に宇宙研の新所長になりました。この言葉の真意を改めて教えて下さい。
藤本 「地球防衛」の講演会の参加者の顔ぶれが、いつもの宇宙研のイベントと全く違ったんです。普段、たとえば探査機「はやぶさ」の説明会などは「宇宙の工学・技術の話が好きなおじさん」みたいな人ばかりで、いつも同じ顔ぶれなんです。
でも今回は「お母さん」という感じの女性が目立っていて、「本当に子供の将来を考えて、天体衝突を心配して講演会を聞きに来てくれたんだな」と思いました。ならば、宇宙研は世間の期待に応えなければならないのかな、と。
茜 では早速、藤本所長から世間に向けて、はっきりと言っていただきましょう。
藤本 今年7月5日に地球に衝突する天体は、世界的に見ても確認されていません! 落下した隕石によって大惨事になるという予言には、科学的な根拠は全くありません!
茜 「25年7月5日天体衝突説」は21年に出版された漫画が発端で、昨年後半頃から噂が急速に広がりました。藤本所長はいつ頃からこの噂をご存知でしたか?
藤本 本当に全然知らなくて。JAXAのプラネタリーディフェンスチーム長(吉川真・宇宙研准教授)は以前から知っていたらしいのですが、僕のところには報告が上がってこなかったんですよね。アホくさ過ぎて言えなかったんじゃないですか。