コラム

大西卓哉宇宙飛行士「きれいごとではなく、僕らのリアルを知ってほしい」【独自インタビュー】

2025年03月14日(金)08時55分

──少し話は変わりますが、大西さんのアウトリーチ活動について伺います。前回の宇宙飛行では「宇宙ブロガー」として訓練の様子や宇宙活動を紹介して、『秒速8 キロメートルの宇宙から』(教育評論社)という書籍にもまとめられました。最近のSNS投稿でも、いつも率直に訓練の感想などを語っていらして、私も追体験している気分です。宇宙飛行士の日常を伝える時に意識していることはありますか。

大西 分かりやすく書こうと意識しています。あとは、なるべく自分が感じたままを書こうと思ってます。

どうしても「立場上ポジティブに」とか、いい意味でも悪い意味でも「きれいごと」を言わなくてはいけない場面というのはどうしてもあります。でも、「もっと僕らの世界のリアルを知ってもらいたいな」って、僕は昔から思っているんです。

宇宙飛行士も1人の人間ですし、それが宇宙でどういう生活をしている、どういう仕事をしているというのをありのままを伝えることができるのは僕らだけです。なので、それをやりたいなといつも思ってます。


──失礼な物言いに聞こえたら申し訳ないのですが、一般に宇宙飛行士の方々は優等生のイメージが強いのですが、大西さんには「隣のお兄ちゃん」みたいな親しみを感じます。SNSも、近所のお兄ちゃんが子供たちを集めて「宇宙の話をするから、聞いて聞いて」みたいな感じで。

大西 まさにそういうところを目指してるので、そう言っていただけると非常にありがたいですね。

──大西さんはJAXAGA SCHOOL(佐賀県とJAXAが連携した宇宙教育プログラム事業)の名誉校長ということで、宇宙好きの子供たちと接する機会も多いと思います。大西さんが子供たちから受け取ったこと、学んだことはありますか。

大西 宇宙飛行士は仕事として宇宙に行っているので、どうしても日々のタスクに追われてしまって、初心を忘れてしまうことがあります。そういう時に子供たちと向き合うと、本当に目をキラキラさせて僕の話を聞いてくれたり、子供らしい素直な視点で質問を投げかけてくれたりするので、自分自身も昔を思い出して初心に戻ることができます。

僕が子供たちを色々とインスパイア(触発)している一方で、僕自身がすごくモチベートされている(やる気を起こさせられている)ような、そういう時間を過ごせています。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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