コラム

「遊戯王」作者の事故死に見る、マリンレジャーに潜む危険

2022年07月19日(火)11時30分

雷の電圧は約1億ボルトとも言われています。海の中で感電すると、衝撃で気を失って落水する恐れがあります。砂浜にいても落雷に遭遇することもあります。

雷が鳴ったら、すぐに海から上がり、鉄筋コンクリートや避雷針のある建物内に避難することが重要です。適切な建物がない場合は自動車に避難します。万が一、落雷しても電気は車体を通じて地面に逃げるので、車内の金属部分にさえ触れていなければ比較的安全です。

開けた場所で近くに逃げ場がない場合は、最後の手段として「雷しゃがみ(Lightning Crouch)」が推奨されます。これはアメリカの雷の多い地区で行楽前に習う姿勢で、①地面にしゃがむ、②頭を下げて、できるだけ低い姿勢になる、③両耳をしっかりとふさぐ、④両足の踵を合わせて爪先で立つ、ことがポイントです。

両足の踵を合わせる理由は、雷の電気が足から進入しても反対の足から地面に逃し、上半身まで流れないようにするためです。爪先で立つ理由は、接地面を可能な限り小さくするためです。姿勢を低くすることは大切ですが、腹ばいになってしまうと接地面積が大きくなるので、地面から感電する恐れがあります。

ここまで挙げたもの以外にも、マリンレジャーでは強い日差しや熱中症、台風直後の高波など、気をつけることは多数あります。コロナの状況にも気を配りながら、楽しい夏の思い出を作りたいですね。

20240611issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年6月11日号(6月4日発売)は「ウクライナの日本人」特集。義勇兵、ボランティア、長期の在住者……銃弾が飛び交う異国に日本人が滞在し続ける理由

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト/博士(理学)・獣医師。東京生まれ。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第 24 回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏陣営、トランプ氏不支持の共和党幹部を起用

ビジネス

金相場、年内に再び最高値更新か=メタルズ・フォーカ

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、プラス転換し底堅さも

ビジネス

サウジ政府、アラムコ株追加売り出しで112億ドル超
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナの日本人
特集:ウクライナの日本人
2024年6月11日号(6/ 4発売)

義勇兵、ボランティア、長期の在住者......。銃弾が飛び交う異国に彼らが滞在し続ける理由

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車が、平原進むロシアの装甲車2台を「爆破」する決定的瞬間

  • 2

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 3

    カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らかに ヒト以外で確認されたのは初めて

  • 4

    「出生率0.72」韓国の人口政策に(まだ)勝算あり

  • 5

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 6

    なぜ「管理職は罰ゲーム」と言われるようになったの…

  • 7

    アメリカ兵器でのロシア領内攻撃容認、プーチンの「…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 10

    世界大学ランキング、日本勢は「東大・京大」含む63…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 3

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が34歳の誕生日を愛娘と祝う...公式写真が話題に

  • 4

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 5

    我先にと逃げ出す兵士たち...ブラッドレー歩兵戦闘車…

  • 6

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「…

  • 7

    「サルミアッキ」猫の秘密...遺伝子変異が生んだ新た…

  • 8

    アメリカで話題、意識高い系へのカウンター「贅沢品…

  • 9

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 10

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 1

    ラスベガスで目撃された「宇宙人」の正体とは? 驚愕の映像が話題に

  • 2

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 3

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    「世界最年少の王妃」ブータンのジェツン・ペマ王妃が…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃の「マタニティ姿」が美しす…

  • 8

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 9

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story