コラム

時価総額45億ドルのMagic Leapが拓くミックス・リアリティの世界 スマホは不要になるのか?

2016年04月25日(月)15時06分
時価総額45億ドルのMagic Leapが拓くミックス・リアリティの世界 スマホは不要になるのか?

 最近、投資家の友人たちから「Magic Leapについて、何か情報持ってない?」と聞かれることが増えてきた。Magic Leapとは、ミックス・リアリティ(MR)と呼ばれる新領域の技術で注目を集めている米フロリダ州のベンチャー企業だ。

 ミックス・リアリティとは、リアルな空間にバーチャルな物体を映し出す技術。いろいろ説明するよりも、Magic Leapが作成した以下の動画を見ていただくのが一番速いだろう。

 確かにすごい動画だが、なぜ私の友人の投資家たちがMagic Leapに注目するのか。それはこれまでに推定22億ドル(約2500億円)という巨額の資金を調達することに成功したからだ。まだ1つも製品を世に出していない企業なのに、フィナンシャル・タイムズ紙によると推定時価総額は45億ドル(約5000億円)なのだとか。

 しかも出資企業に名を連ねているのは、Google Ventures、Qualcom,映画会社Legendary Entertainment、シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタルのHorowitz and Andreessenと、Kleiner Perkins。つまりシリコンバレーのドリームチームが、Magic Leapを後押ししていることになる。

 またフロリダのMagic Leapの本社を訪問する「Magic Leap詣(もうで)」が映画業界の中で始まっており、Magic Leapの技術を実際に体験した映画関係者の間からは絶賛の声が聞かれるという。

 巨額の資金を有力企業から調達し、その技術を見た者からは絶賛の声が聞かれるというのに、その全容がほとんど明らかになっていない。普通なら開発者向けの試作機などを発表することでコンテンツ開発者の裾野を広げようとするものだが、Magic Leapはそうした動きを一切しない。秘密のベールに包まれたままだ。

 なので秘密のベールの外にいる者たちは、秘密のベールの内側で何が起こっているのかを知りたくて仕方がないのだろう。ひょっとしてこれから大きなパラダイムシフトが始まるのか?そういう思いで投資家たちは、少しでも多くの情報を集めようとしているのだろう。

プロフィール

湯川鶴章

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。

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