
ドイツの街角から
ドイツ・メルヘン街道開設50周年!グリム童話ゆかりの魅力あふれる地へ その2

メルヘン街道の至る所でグリム童話の伝説が息づいている... 今回はさらに童話の世界に足を踏み入れ、ハン・ミュンデン、ゲッティンゲン、ハーメルン、ブレーメンの魅力に迫りたい。前回に続き、古き良き街並みと童話の舞台となった場所をお届けしよう。
1.3つの川が交わる水の街ハン・ミュンデン
歴史とロマンが息づく街並みが特徴のハン・ミュンデン(Hann・Muenden)は、ドイツ国内でも随一の美しさを誇る。ヴェラ川、フルダ川、ヴェーザー川の三つの川が合流するこの豊かな水の街には、700軒以上の木組みの家が立ち並び、中世の雰囲気が色濃く残っている。時を超えて現代に伝わるこの街並みは、まるで中世の物語に迷い込んだかのような感覚になるだろう。
Foto ©norikospitznagel 息をのむ美しさ・市庁舎(左)と木組みの家並み
さらに、石造りの橋や塔、教会、そしてヴェーザー・ルネッサンス様式の壮麗な建築物が町の至るところに点在し、訪れる人々を魅了している。
Foto ©norikospitznagel 街のシンボル・鉄ひげ博士の面影は至るところで見られる
ハン・ミュンデンの最も有名な人物は、バロック時代の伝説的な名医「鉄ひげ博士」だ。医師の博士号を取得しておらず、目立ちたがり屋だったやぶ医者?と噂されていた彼の逸話は今もなお語り継がれており、夏のシーズン中には野外劇が行われるほか、市庁舎の仕掛け時計にもその姿が登場する。
2. 学問と童話が息づく街ゲッティンゲン
ゲッティンゲン(Goettingen)は、40人以上のノーベル賞受賞者や数多くの発明家を輩出した、学問の街。その中心には、1737年創立のゲオルク・アウグスト大学があり、世界的な名声を誇っている。
Foto ©norikospitznagel 歴史的な絵画が飾られている市庁舎ホールにて
この大学には、1829年から1837年まで、グリム兄弟も図書館員や教授として勤め、研究と教育に多大な功績を残した。彼らの足跡は、ゲーテアレー6番地にある記念碑や、大学図書館の一部であるパウリナー教会の荘厳な図書館ホールに残されている。重厚な書架の並ぶ空間には、兄弟が過ごした時間が今も息づいているかのようだ。
Foto ©norikospitznagel 旧市庁舎前の広場にあるゲンゼリーゼルの噴水
とはいえ、この街で最も目を引くのは、歴史的な市庁舎の前にあるゲンゼリーゼル(ガチョウを連れた少女)の噴水だ。愛らしいガチョウを抱える少女リーゼルの像は、学生たちが卒業前に必ずキスをするという伝統があり、学問の成功を願う象徴ともなっている。
次は笛吹き男伝説の街へ

- シュピッツナーゲル典子
ドイツ在住。国際ジャーナリスト協会会員。執筆テーマはビジネス、社会問題、医療、書籍業界、観光など。市場調査やコーディネートガイドとしても活動中。欧州住まいは人生の半分以上になった。夫の海外派遣で4年間家族と滞在したチェコ・プラハでは、コンサートとオベラに明け暮れた。長年ドイツ社会にどっぷり浸かっているためか、ドイツ人の視点で日本を観察しがち。一市民としての目線で見える日常をお伝えします。
Twitter: @spnoriko