コラム

テロが招く国家間戦争...インド×パキスタン、カシミールで始まる報復連鎖が「核」に火をつける日

2025年05月15日(木)12時05分

国家絡みのテロは国際協力より軍事的緊張が先行する

一方、カシミールでのテロが危険なのは、それが国家間戦争に発展する潜在的脅威が内在するだ。インドはパキスタンがテロ組織を支援していると非難し、パキスタンはインドの軍事行動を主権侵害とみなす。


この対立は、両国のナショナリズムや国内政治を刺激し、誤算や偶発的な衝突が戦争に発展するリスクを高める。特に、核保有国同士の対立は、地域を超えた影響を及ぼす。中国はパキスタンと「一帯一路」構想で連携し、カシミールに経済的投資を拡大。

インドは中国の影響力増大を警戒し、地政学的な緊張が高まる。米国や国連は調停を試みるが、両国の対立は根深く、解決は容易でない。

カシミールでのテロは、単なる暴力行為を超え、印パ間の戦争リスクを増大させる。2025年4月22日の攻撃は、両国の報復の連鎖を引き起こし、核戦争の懸念さえも聞かれる。アルカイダやISのテロが国家間の国際協力を誘発するのに対し、国家絡みのテロは国家の主権や領有権の対立を激化させる。

カシミール問題の解決には、テロの根絶に加え、印パ間の対話と国際的な調停が不可欠だ。国家間の対立が絡むテロは、地域の安定を脅かし、世界平和に深刻な影響を及ぼす。国際社会は、このリスクを軽減するための協力を強化する必要がある。

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プロフィール

和田 大樹

株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学講師(非常勤)。専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論など。大学研究者として国際安全保障的な視点からの研究・教育に従事する傍ら、実務家として海外進出企業向けに政治リスクのコンサルティング業務に従事。

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