「最強者」でなければやられっ放し? 強権全盛のトランプ時代に日本がすべきこと
KRISZTIAN BOCSIーBLOOMBERG/GETTY IMAGES
<カナダのカーニー首相はトランプ時代の「強者は正義なり」というトレンドに、ダボス会議で堂々と異議を唱えた。日本は何をすべきなのか?>
子どものために特注教科書を作った知人がいる。古代ギリシャの歴史教材を生成AIのLLM(大規模言語モデル)に取り込んだ上で、指示を与えたら、東京の高校に通う歴史好きの子どもの名前(仮にX君とする)を主人公とする、対話形式の手製出版物が出来上がった。特に目に付いた内容は──。
アテナイ人 君たちも知ってのとおり、世界の常として正義は等しき者同士でのみ語られる。強者はできることをし、弱者は耐えるだけだ。
X君 ええ? 最強者でなければやられっ放し? それ、ただのいじめじゃん!
これは紀元前5世紀に書かれたトゥキディデスの『ペロポネソス戦争史』を生かしたもの。このDIY本を見ての第一印象は「X君が羨ましい」。AIを賢く活用すれば、歴史の授業は単に日付や名前、場所を語呂合わせで頭に詰め込むだけではなく、もっと楽しくて深い学びになり得る。高校生に戻りたい!
この手製教科書を読んで、先月スイスで開かれたダボス会議でのカナダ首相の歴史的名演説を思い出した。なぜなら、マーク・カーニー首相もその時、次のようにトゥキディデスに触れたから。「ルールに基づく秩序は色あせ、『強者はできることをし、弱者は耐えるしかない』時代になっている」
同時に、カーニーはX君からの問い、つまり「最強者でなければやられっ放し?」に「ノー」と答えるかのように、横連携に努めることで、中堅国が覇権国の圧力に対抗する必要性も強くアピールした。






